、 ページ20
、
隣席の子はバレたことに「あちゃー」となっていたけれど、
私は怒られる…なんて不安な気持ちにはならなかった
だって、その先生の表情は
やわらかで優しかったから
「…あ、あん時の。改めて躑躅森盧生や。よろしくな」
日だまりのような眼差しの彼はわた…いや、俺に向かって手を伸ばした
『ぇ…』
俺は一瞬きょどる
＿＿手を握るという行為が初めてだったからだ
「(ん？どうしたんやろ…？)」
そんな俺の不安なんか知らない先生は、ただただじ純粋な眼差しでいてくれた。だからそれに安心した俺は…
手をゆっくり前に出した
握ってみて分かった
この人の手…冷たい
＿＿冷たい？それってマイナスなこと？
ううん、そんなこと思っちゃだめ
手が冷たい人ほど、俺は優しい人だと思っている
きっと、自分の体温より、周りのことを気に掛けているんだ…
だから俺はこの時だけ笑えたんだと思う
『これからよろしくお願いします、先生』
しばらく…ってほどは居ないと思うけど、お世話になりますね
って、俺はニコニコしていたが、
そんな俺の表情が気に入らなかったのか、先生は目を見開いていた
「(なんやこいつ…女の子みたいに笑うな…)」
『…ん？先生？ 手、離してくれへんの？』
「あ、すまん…」
「(見間違いやろうか…一瞬、別嬪さんに見えてしもた…///)」
「(って、男の子にそれは失礼やろ！)」
、
、
、
それから学校に通いつめて、どんどん成績を上げていくことにした
これが学業っていうものなんだろう…
私はただ…真面目に生徒として生きよう
＿＿そう表で感じ、裏では先生の監視をする
わかったことその1
『先生、誕生日おめ〜プリン買ってきたよ〜』
「ほんまか…！？」
このキラキラした目、先生が少年に見えてくる
好物はプリンに間違いなし
そんで…
『先生、彼女いるん〜？』
「残念ながら独身や。もうそれ、ふるなよ？傷つくから」
26歳独身、か…
『生徒に手ぇ出したらあかんよ？』
「するわけないやろ」
『せやな』
一番最初に教えてもらったことがあるけど、彼、優しい先生だわ
絶対、生徒を裏切らない
、
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 55人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：真灯
| 作成日時：2021年5月30日 20時
