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7話 ページ7

……どれくらい、そうしていただろうか。

ふいに、Aが理鶯の頭を持ち上げ、触れ合っていた額を離した。


「……」


何も言わずにAを見つめていると、何度か言葉を選ぶようにかすかに口を動かした。


「……すまない。助かった。だが、もう回復した。帰ってくれて、構わないぞ」


なんとか最後まで目を逸らさずに言い切ったAに、理鶯は少し怒った様子で首を横に振った。


「それはできない。いくら回復したとはいえ、一度死にかけたんだ。今日一日は小官が面倒を見る」


そう宣言されてしまうと、最早Aに抵抗の術はない。


「……そうか、感謝する」


苦笑したAだった。

その日一日、食事や洗濯、着替えに至るまで理鶯はAの面倒を見た。

それら一つ一つを感じるたび、Aは泣きそうになるのを必死に堪えていた。

この優しさがもう二度と自分に向くことがないことを、知ってしまったから。

Aがそんなことを考えているとは露知らず、くるくると働く理鶯の背中を、Aはただ見つめるだけだった。

◇ ◇ ◇

「来月からは抑制剤を飲むから心配ない。ありがとう、理鶯」


翌朝、Aはすっかり元気になり、理鶯を送り出した。

薄く微笑んでAの家を後にする理鶯の姿が視界から消えても、Aはしばらく、その場に立ち尽くしていた。

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狼鬼(プロフ) - 何回も読み返すほど悲しくて、でもとても素敵な作品です。完結するまでずっと待っています。無理をしませぬようお気をつけください。 (2021年9月10日 22時) (レス) id: 8a6b913a72 (このIDを非表示/違反報告)
龍牙(プロフ) - mikittyさん» コメントありがとうございます!ありがとうございます!! (2021年1月26日 16時) (レス) id: 6c80c43520 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 完結まで追い続けます! (2021年1月25日 12時) (レス) id: 05ebd46207 (このIDを非表示/違反報告)
龍牙(プロフ) - マームさん» コメントありがとうございます!とても嬉しいお言葉ありがとうございます!!なかなか更新できていませんが、頑張らせていただきます!! (2020年6月28日 10時) (レス) id: 6c80c43520 (このIDを非表示/違反報告)
マーム - めっちゃ好みすぎて何回も読み返しています!!更新頑張ってください!! (2020年6月24日 23時) (レス) id: 12bdf0a400 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:龍牙 | 作成日時:2019年5月11日 19時

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