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「姉ちゃん、遅いな…」
思わず口からこぼれた言葉に、空却が俺を見てニヤァ…と笑った。目に見えてからかおうとしている。俺でもこれはさすがにわかる。
「一郎テメェ、マジでAのこと好きだな」
「るっせ、俺は姉ちゃんを心配してんだよ」
ニヤニヤしたまま近寄ってくる空却を手でのける。正直言って、こういうノリは苦手だ。正確に言えば、どう返していいのかがわからない。
不良だとうわさされるようになって、クラスや学校の奴らに遠巻きに見られるようになって。同年代との距離感というものがわからなくなっていた。
こういうふうに誰かと笑うのは、姉ちゃんとだけだったから。
「でもま、確かに遅ぇな。先に会計してろっつってたし、行くか。どうせ外にいんだろ」
「おう…」
空却が立ち上がり、俺も姉ちゃんの鞄を持って続いた。
すると空却が突然「あ」とこぼし立ち止まった。思わず首を傾げると、空却が振り返った。顔がまたからかうときの顔になっている。ニヤニヤしている。
「金、ちゃんとAの財布から出せよ。ネーチャンから頼まれたんでな」
「なっ、わかって…、……やっぱこれすこしくらい…」
「はい没収」
レシートを見て言った言葉がレシートと共に空却にかっさわれていく。うわすっご、なんてレシートを見てこぼしながらまた空却が歩き始めた。
「テメェはもうちょっと人の厚意を受けやがれ。人に頼らなすぎなんだよ。"善意を退けることなかれ。さすれば相手を傷つける"ってな」
「え…」
「テメェの言葉で、A傷つけたら、後悔すんのはテメェ自身だろうよ」
俺の言葉で、俺の遠慮で、姉ちゃんが傷つく。
考えたこともなかった。だからこそ、胸にグサグサと刺さった。
レシートをレジに出して空却が俺を呼ぶ。そこでようやく足が動いた。
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初の他の人side(もうちょっと続きます)
お姉ちゃんと一郎くんは似てる…なんて思いながら書いてたので一郎くん視点は割と書きやすかったかも…
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りんご - 滅茶苦茶面白いです...！今更ながら、更新待っています！ (3月30日 11時) (
レス) @page19 id: 76f76e1010 (このIDを非表示/違反報告)
ぱい - 面白すぎ！話にスルッと入れる神作品！更新待ってます！ (2022年6月23日 20時) (レス) @page19 id: 0c35d3b667 (このIDを非表示/違反報告)
月宮 朔(プロフ) - 悠希さん» ありがとうございます！い一気読みお疲れ様です…！いやぁ、お兄ちゃんしてる一郎くんを公式で見てると、つい甘やかしたい欲が働いて可愛くなっちゃうんですよね…()これからも頑張ります！！ (2021年8月14日 9時) (レス) id: 9e4a60ca3b (このIDを非表示/違反報告)
悠希(プロフ) - 今日この作品見つけて一気読みしましたw一郎くんめちゃ可愛いです！これからも更新頑張ってください！応援してます！ (2021年8月13日 22時) (レス) id: 84d16d7788 (このIDを非表示/違反報告)
月宮 朔 - Reiさん» ありがとうございます！Rei様には何度もコメントをいただき、私もう超感激です…！これからも頑張ります、ありがとうございます！(非ログ垢から失礼いたします) (2021年8月12日 20時) (レス) id: 40534f6bdf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月宮 朔 | 作成日時：2021年8月12日 17時
