【ヒプノシスマイク】彼の対処法8

ハッピー･･･バースデー･･･ ページ1

【波羅夷空却】

アイツと初めて会ったのは･･･

『よろしくお願いします、お師匠！』

拙僧の家･･･つまり、寺だ。アイツは煩悩をどうにかしたいと修行しに来たのだ。

親父が買い物中に倒れ、アイツが助けたとかで親父が感謝し、ここを紹介したのだとかいう･･･

けど、拙僧はアイツを信用できなかった

だって、アイツは･･･あの壁の向こうにいる女とかわんねぇ･･･

(なんでコイツ･･･ヒプノシスマイクを持ってんだ･･･)

最初はコイツのめんどうなんてごめんだ、と思った。十四で忙しいのに･･･

だから適当に修行をさせた。女だからすぐにやめると思ったんだ。

でもアイツは何日立ってもここに通い続けた。煩悩を抱えて･･･

なんの悩みかは知らねぇが、ここまで来るってことは相当の悩みなんだと思った。

もうここへ来ないように拙僧は真面目にアイツの煩悩をはらうことにした。

だが、アイツの悩みはひどく脳にこびりついていた。

『ﾋｯｸ･････ｩｩ･････』

アイツはよく隠れて泣いていた。

ようやく剥がれたアイツの化けの皮。

予想通り性格ブスかと思いきや･･･

───泣き虫女だった。

十四みたいに大声で泣くわけではなく、嗚咽を我慢し、ハンカチではなく自分の袖で涙を拭っていた。

拙僧の勘違いだった。アイツは強い女じゃない。強がっているだけの弱い女だ。

「ククッ、おもしれぇ」

アイツの本性を見抜いたらこっちの番だった。

新しいおもちゃを見つけた子どものように拙僧はアイツをいじめた。

････でも、アイツは顔に雑巾をぶつけられても平気で笑っていた。

───どこまでも弱い女だと思った。

だが、それもまた拙僧の勘違い。弱くても脆くてもアイツは拙僧のことを親父に言いつけなかった。

アイツが持ってんのは邪魔な優しさだけじゃねぇ

"目には目を歯には歯を"

仕返ししてきやがった。

「おい、テメー！拙僧の漫画どこへやった！？」

『え？なんのことかしら？あなたの部屋が汚すぎてお菓子のゴミかと思って焼却炉に捨てちゃったのかな〜』

「なっ･･･！？あれは！拙僧が気に入っていた漫画なんだぞ！？」

とんだクソ女だ。性悪女だ。ブスだ。拙僧が知ってるだけのたくさんの悪口がアイツにあてはまった。

しかし、一番しっくりくるのはやはり泣き虫女。

さっさと寺から出ていけ。そう思った。



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