【ヒプノシスマイク】彼の対処法10

味がしない【飴村乱数】 ページ16

乱数side



お前ごときがナミに近づくな！

ナミに触るな！


叫びたいことはいっぱいいっぱいあったのに喉から溢れてくる液体のせいで声が出なかった。そして、その怒りの叫びはクローンにだけ向かなかった。

“それが本物じゃないってことぐらい気づけよ馬鹿ッ”

それは彼女に向けたもので。ごめん、ナミに罵倒なんてどうかしちゃったのかな。ナミのこと大好きなはずなのにおかしい……

機械には似合わない涙が滲み出そうだった。──倒れ掛けたその時、聞こえたのは堂々とした彼女の声。


『あなた、乱数ではありませんね？』


クローンも俺と変わらない名前なのに彼女の一声が強く響いた。




、





夢主side




「え〜？なんのこと？」

私の一言に彼は目を見開いた。

「ナミってば、また悪いものでも食べちゃったの☆？」

ニコッと笑う彼を見て、ああ、やっぱり違うと確信した。

『あなたが本物でないのは確かです。上からの命令ですか？』

ビシッと聞くと彼の表情が暗くなった。また、アホみたいな面ではぐらかすのかと思ったが、「あーあ、バレちゃった」と本性を出したのでそれはないと感知。彼はうん！と子どものようにヘラりと頷くと

「ボクも上からの命令なの〜〜！

お前を排除しろ、

と【言浚】の隊長サマから〜♪」


────コトサライ？

その言葉で連想させられるのは仄仄さんだった。

彼女の顔を想像し、ああ、そうか、と悟った。彼女とは党でよく会う。前を通りすぎるたびに耳へ不気味な含み笑いがなされる。

嫌われている、というより、獲物を見るような目で見られていることからして、使えそうだ、とでも思っているのか。


何か気に触ることでもしたかしら？と首を傾げると「毎度毎度ディビジョンの人達と戯れすぎだってさ〜♪」とこれまた突拍子もないことを。

『私は彼らに何も情はない』

「なくても、もし生まれちゃったら怖いでしょ？
ナミは強いんだから、裏切られたら怖いじゃん！♪

だから、ボクらみたいに感情を失くしちゃおうって！

例え、それが例外でも排除していいって言われてるからね♪」

彼はポケットから黒いマイクを取り出した。
そこには中王区の刻印が描かれている。

───真正ヒプノシスマイク･･･
───マインドハックするつもりだ。





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