#59 味と香り ページ9
あー!!
今何処にいるか分からない……
森を出て適当に歩いてたらなんか知らん場所に居た。
正確な場所が分からないのはまだしも、○○タウンとかの場所も分からない。
今はとりあえず歩いてるけどさ、
うぇ
なんか廃墟見えてきたよ!?
…いくか……
いやさ、
隣に墓場があるって何?
ねぇ?
もういいや…
IN.屋敷内
「お邪魔します…うおっ」
ビクッたぁ〜
床しなってるわ……これ抜けてもいつ可笑しくないな…
お、ポケモンいる
いるとこには居るんだ。やっぱ
あ、ヤバチャ
ヤバチャって不味いんでしょ?
飲んでみよ。飲まれるの待ってるって前世でネットのポケモン図鑑的なのに書いてたし。
どの子にしようかな…
あれ?あの子……
、
他の子は皆で集まってるのに、あの子だけ……
「独りぼっちだ」
その子を飲ませて頂くことにした。
ギィキィ
とその子に近づく事に床の音がする。
その子と目をあわせて
「ね、あなたのこと、少し飲んでもいい?」
その子は目を伏せて、"少しならいい"と言うようにコクリと頷いた。
その目には希望が宿っていなかった。
この子は、他の誰かに飲まれて、吐き出されたのだろうか…
そんなことを思いながらヤバチャを両手で持つ。
「頂きます。」
「ヤ、ヤバチャ(め、召し上がれ)」小声
小声で、"召し上がれ"と返してくれたのが嬉しくて、つい、微笑む。
「ありがとう、ヤバチャ」
口元に持っていき、
ヤバチャを啜る。
「!!」
そのままゴクリと飲んだ。
「ヤバヤバチャ?(ど、どうでしたか?)」
「あのね、」
ヤバチャの唾を飲むような音が聞こえた。
「凄く凄く」
目が伏せがちになるヤバチャ。
「美味しかったよ!!!!!!!」
"あんなに美味しいお茶初めて飲んだ"と告げると、
ヤバチャは目をあわせて、キラキラした目で
「ヤバチャ?(本当の本当?)」
「ええ、本当の本当。色んな味が混ざって色んな香りがして、これ以上無いくらいに美味しかった。」
「ヤバチャ、ヤバヤバヤバ(やっと出会えたよ、おじさん。運命のニンゲンに)」
そう言ったその子は少し嬉しそうだった。
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作者名：灰かぶり | 作成日時：2020年7月5日 21時
