転生したら弱井トト子になっていた件について【おそ松さん】

【第4話】少ない脳で考えました ページ5

……それはさて置き、本当に何故私はトト子ちゃんに生まれ変わったのだろうか。先程考えた通り、私はダンゴムシのように隅っこで擬態して空気のように扱われることに慣れている完全な陰キャである。何がどうして、正反対なアイドル的存在のトト子ちゃんになったのだろう？どう見たって共通点などある訳が無い、というよりも彼女……否、彼女だけじゃない。トト子ちゃんの母や父でさえも画面の向こう側にいる手の届かない存在だ。



いや確かに、私は前世で何度か「くっそー、トリップしたいんだけどー！」と考えた。寧ろ何度かトリップする方法を試した。今考えると黒歴史だが。



当たり前だが、そんなやり方でトリップ出来るわけがない。というよりも、そもそも漫画やアニメ、ゲームの世界は画面の向こう側の理想郷であるため、我々アニオタはその様子をテレビやiPhoneの前で眺める他無いのだ。



結論、私は何故画面の向こう((ry な存在のトト子ちゃんになっているのか、皆目検討がつかない。


私の空っぽな脳みそ……否、少しはあるけども！！そんな脳みそで考えても良い考えは思いつかなかった、くそぅ。




「うー…あー」



ベッドに横たわったままの私はむっちりとした赤ん坊特有の腕を伸ばし、天井に向けてみた。

……まぁ、トリップして嫌な気分な訳が無い。言うなれば良い気分だ。存分に謳歌しようではないか。





「Aー、父ちゃんが抱っこしてやるぞー！！」
「おとーしゃー！」




厳つい顔をしているトト子父……現私の父は、そんな無骨な表情を蕩けさせて私を抱っこした。








暫くはこの平和な日常を楽しもう。

そう私は思った。が、









トト子ちゃんに転生した、ということに気を取られすぎて、あの問題児の六つ子のことをすっかり忘れていたのだった。

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