８話 ページ10
美味しい食事に安全が保障された宿。潤沢な資金と、それを存分に浪費できる施設が所狭しと並んだ街。そして何より愛する人。
これ以上に幸せな旅がどこにあろう。いいや、ないとも。と、自信たっぷりに反語を用いるだけの満足感を、少なくとも私はここ数日で得ていた。
本人の言葉通り、自発的にやることもやりたいことも特に見つからないフェイは、私が望むことに黙って着いてきてくれた。
今まで文句を言われたことはないし、フェイに不満を感じさせるような予定は立てていないので、環境の質が合わないことだけを除けば概ねいい旅と言えるだろう。
といっても、私だってただ遊び歩いていたわけではない。そもそもここに来た目的のために、ちゃんと闘技場の巡回も行なっている。
ギド戦の三月十一日という日付以前には明確な数字が示されていなかったので、毎日地道に張り込みをする他に方法はなかったのだけが難点だ。
おかげで昼時はフェイと別行動になってしまったけれど、正直イルミさんに逆らうと後が怖いのでここは妥協している。あの人ヤバいもん、針投げるのに一切の躊躇がないからね。
闘技場は一大娯楽なので、入り浸っていても誰にも怪しまれることがないのが救いだ。
そうこうしている内に、早くも二月下旬。逆算するとそろそろかな、とレベル低めの一階クラスを無我の境地で眺めていると、見慣れたツンツン頭を視認した。
対戦相手は腹の出っ張った巨漢。間違いない、ゴンくんだ。素早く客席を探し、キルアの姿も確認できた。
よかった、彼らは無事にここに来れたようだ。
そうなれば、少年二人に絡みに行く前にやることがある。彼らがここにいるということは、ヒソカさんも既に上で待機しているはずだ。
電話をするのはあえて避けた。もしもゴンキルを尾行している最中だったら申し訳ないし、経緯を話すと長くなってしまうから直接会った方がいい。
エレベーターに乗り込み、元の世界よりも遥かに速く駆動する昇降機のGを感じながら二百階に登った。能力者が多くいるせいで、色んなオーラが入り混じって気持ちが悪い。ちゃんと“纒”ができているんだろうか、これ。
「すみません、ここにヒソカって闘士がいますよね？」
「はい？……いらっしゃいますが、それが何か？」
能力者達の気配にうんざりしながら受付のお姉さんに聞くと、個人情報的な観点からか、不審者を見る目で見られてしまった。参ったな、どう説明しよう。
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てん(プロフ) - 小学生の頃に出会ったこのハルさんの作品が，成人した今でもずっとずっと大好きです。時々ふと思い出しては読みに来て元気をもらっています。作品を残してくださっていること，そして今でもハルさんの作品を読めることが本当にうれしいです！ありがとうございます！！ (11月8日 0時) (
レス) id: 0c5a4c2fdf (このIDを非表示/違反報告)
てんごく(プロフ) - お願いします頑張って下さい もう、文庫化していいのでは? (6月21日 17時) (レス) @page14 id: eef1b4a1e3 (このIDを非表示/違反報告)
みーぱ(プロフ) - 何年も何年も待ってます....... (2022年12月9日 5時) (レス) id: 48f7dcb244 (このIDを非表示/違反報告)
よるくん(プロフ) - 読ませていただきました！フェイタンがカッコ可愛すぎてマジでやばかったです！でも続きが読みたいです！よろしくおねがいします！ (2022年11月1日 11時) (レス) @page14 id: d8ef2564dd (このIDを非表示/違反報告)
あおぞら(｀・ω・´)(プロフ) - 1週間かけてじっくり一から読ませていただきました！ものすごく設定が凝っていて、原作を髣髴とさせる作品でした。1話1話とてもワクワクした気持ちで読めて楽しかったです。ここで終わりなのが惜しいですが夢のような時間をありがとうございました！！ (2022年9月25日 22時) (レス) @page14 id: 11b3922fd9 (このIDを非表示/違反報告)
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