４話 ページ6
カストロが「二年前」と言っていた。つまり、ヒソカさんは少なくとも二年間、天空闘技場二百階クラスで闘士の地位を保っていたことになる。
あり得ない話ではない。あそこでの戦闘準備期間は九十日だから、ハンター試験を受けても時間的にはお釣りがくる。
作中でもまことしやかに噂されていた通り、お眼鏡に叶う闘士がいない限り準備期間は適当にやりくりしてきたのだろう。あの人らしい。
そしてヒソカさんは、いかような非合法手段を使ってかゴンくん達の行き先を特定して先回りしていた。その後「後を尾けて」、目的地を知ってからは闘技場の自室で待っていたはずだ。
天空闘技場編でもメイン級の活躍をしたヒソカさんとの遭遇は必須。ならば先んじてご挨拶に赴き、突然のエンカウントによる不測の事態を避ける必要がある。
可能なら明日明後日には出立したい。どうやってお願いしようかと悩む私に、他ならぬフェイがノートPCを投げつけた。
「ならささと行くよ。飛行船の手配しろ」
「うえ！？い、いいの？そんな急に……」
「ワタシの意見聞かずに決めた馬鹿が何か言てるね」
「すぐチケット取りまーす！」
フェイのひと睨みには絶対に口答えできない。言われた通りに明日のチケットを取った。
これで移動の準備は整った。元より身一つで動き回る場合の方が多いので、少ない荷物は元からまとめてある。他にすることといえば、宿探しと、この部屋に残る痕跡の抹消だろうか。
「ねえフェイ、ここどうしよっか。色々調べられたら結構な情報が出るよ？」
「火でもつけておけばいいね。一番楽」
「ええ……マンションだし、放火はちょっと……」
罪のない人々が業火に焼かれるのは心が痛む。何を今更と言われてしまえばそれまでだが、私にだって良心は残っているのだ。中途半端に。
「うーん……めちゃくちゃに荒らし回っておく？指紋とか調べる気力もなくすくらい」
「好きにしろ。どうでもいいね」
「もう、冷たいんだから！」
身バレしても問題ないレベルで強い二人はこういうところに無頓着だ。残念ながら私はまだまだ弱く、仮に司法権力に追われた場合無事でいられる保証はないので、できるだけ証拠になるものは潰しておきたい。
その点放火は非常にコスパがいいのだけれど、流石に人道的にどうかと思うので却下。仕方ない、多少の騒音には目を瞑って、久々に“
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1399人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
てん(プロフ) - 小学生の頃に出会ったこのハルさんの作品が，成人した今でもずっとずっと大好きです。時々ふと思い出しては読みに来て元気をもらっています。作品を残してくださっていること，そして今でもハルさんの作品を読めることが本当にうれしいです！ありがとうございます！！ (11月8日 0時) (
レス) id: 0c5a4c2fdf (このIDを非表示/違反報告)
てんごく(プロフ) - お願いします頑張って下さい もう、文庫化していいのでは? (6月21日 17時) (レス) @page14 id: eef1b4a1e3 (このIDを非表示/違反報告)
みーぱ(プロフ) - 何年も何年も待ってます....... (2022年12月9日 5時) (レス) id: 48f7dcb244 (このIDを非表示/違反報告)
よるくん(プロフ) - 読ませていただきました！フェイタンがカッコ可愛すぎてマジでやばかったです！でも続きが読みたいです！よろしくおねがいします！ (2022年11月1日 11時) (レス) @page14 id: d8ef2564dd (このIDを非表示/違反報告)
あおぞら(｀・ω・´)(プロフ) - 1週間かけてじっくり一から読ませていただきました！ものすごく設定が凝っていて、原作を髣髴とさせる作品でした。1話1話とてもワクワクした気持ちで読めて楽しかったです。ここで終わりなのが惜しいですが夢のような時間をありがとうございました！！ (2022年9月25日 22時) (レス) @page14 id: 11b3922fd9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
