３６話（9/5） ページ38
素敵なマンションを所有するだけあって、元家主は車までお持ちだった。赤の発色が眩しいオープンカーに、フェイが運転手となって乗り込む。
「あれ？運転できるの？」
旅団では運転するのは大抵シャルさんやシズクさんだったので、てっきりできないと思い込んでいた。フェイの知らない一面を新たに発見して、少し浮き足立った問いかけになる。
「馬鹿にしてるか？これくらい簡単ね」
「さっすが」
何をしても格好いいダーリンは運転席でハンドルを握っても様になる。……が、一つ聞きたいのだが、ガチャガチャと雑にギアレバーを動かしているのはどうしてだろう。
「右で進む。左で止まる。それだけね」
「フィン！今すぐフェイを止めて！」
「諦めな」
アクセルベタ踏み、ブレーキガン無視。音を置き去りにするのではないかという程の速さで発進した車内で、思いがけず風の強さを知った。
どんがらがっしゃんと豪奢な柵が壊れた。一度もブレーキを踏まぬまま突き進んできた車は奇跡的に通報されることなく目的地に到着し、それでも止まらずに門の鉄柵をぶち抜いたのだった。
“周”で車をコーティングしていなければ、今頃燃え盛る炎から脱出劇を試みなければならなかっただろう。フィンはゲラゲラ笑いながら見ていただけだったし。
「着いたね。二十分もかからなかたよ」
「…………はい……」
ひどい車酔いでフラつきながら地に足をつける。散々アクロバティックな運転を味わったせいで、特に鍛えてもいない三半規管はボロボロである。
運転していたのがフィンなら文句はいくらでも出るのに、満足げなフェイの顔だけで怒りが治まってしまう。惚れた弱みってやつだ。一生かけてもこれには敵わない。
私がぽやぽやしている間にも、当然のように鳴り響く警報に伴いぞろぞろと出てくる警備員達。ごきりと二人が拳を鳴らす。ご愁傷様です、と一足早くご冥福をお祈りしておいた。
「お前、何だよそれ。見にくいだろ」
「顔バレ防止」
能力を使ってすらいないフィンのグーパンで、また一人の罪なき警備員の頭が消し飛ぶ。その横で囮役に徹する私はなんと良心的なのだろうか。
涙を禁じ得ない私の慈悲が後世に伝わることはない。フィンが今しがた指摘した通り、顔を隠すお面をつけているからである。
生憎と、顔をモロに出して我が身を危険にさらす勇気はまだない。なので適当なものを調達したのだが、まあ、ひょっとこはちょっとアレだったかな、と一応反省はしている。
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ハル(プロフ) - 向日葵さん» ご無事で何よりです…！それはありがとうございます(笑)幸い軽微な被害で済みましたので、すっかり元気に続いています！余震はまだ少し怖いですけれど、元気にやって参りましょう！ (2018年9月15日 13時) (
レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - エルさん» 同郷の方！ご無事で何よりです！本当に、復旧にあたって下さった方々には頭が上がりませんね…H×Hが完結するまでは何としてでも生きてやりますよ！ (2018年9月15日 13時) (レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ネフェルティティさん» そちらでも台風などで非常に大きな被害が出たとお聞きしております。地震に台風にと最近災害が一際目立っておりますが、どうかお元気で、ご無事でいらっしゃることを心より願っております。温かいお言葉をありがとうございます！頑張りましょう！ (2018年9月15日 13時) (レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - シユウさん» ありがとうございます！何年もお付き合い頂き感無量でございます…！お願い死なないでシユウさん！ (2018年9月15日 13時) (レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - みーたんさん» ありがとうございます！まだまだ頑張って行く予定です！ (2018年9月15日 13時) (レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
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