３３話（9/2） ページ35
その後、ホテルの人に不審者と叫ばれたフェイと逃げた先に、なんと廃墟ではない立派なマンションに案内してくれた。
どうやったのか聞いたら、家主をあれこれして手に入れたという。本人の弁をそのまま使うと年齢指定が入りそうなので控えておく。
元の持ち主のセンスの良さが伺える2LDKのすっきりとした家は、どちらかといえばフェイの趣味には合わない。陰湿とまでは言わずとも基本的に日陰を好むフェイが、こんなに日当たりのいいお部屋を選ぶとは意外だ。
「珍しいねぇ、フェイが家を持つなんて」
入って早々疲れを取りたい一心でふかふかのソファにだらつく私を、一人がけの椅子に座ったフェイが眺めている。別段口を開く様子もない。
折角久々に会えたので会話がしたくて何とはなしの気持ちで聞いたのだが、「別に。気分だたね」の一言で済まされてしまった。
こういう時に茶化すと何かしら刃物が飛んでくるので、お利口な私はそれ以上追求せずに立ち上がった。コーヒーでも淹れたら会話の糸口になるかと思ったからだ。
見慣れないキッチンは使用感がなく、覗いた冷蔵庫には冷凍食品やお惣菜がいくつか。かつての家主は自炊が苦手だったようだ。
これではコーヒーは望めないかな、と戸棚を探り探り、全く取り出しにくい場所からインスタントのコーヒー豆を発掘することに成功した。賞味期限はギリギリセーフ。劣化していそうだが、飲めないほどでもないだろう。
ヤカンで湯を沸かしている最中、フェイがやってきて台所をひょこっと覗き、そのまま戻っていった。元の世界でも時たま料理の様子をチラ見することがあったので、懐かしさに笑みがこぼれる。
フェイの好みに合わせて、ちょっと濃いめに淹れたコーヒーを前に置くと、閉じていた目を薄く開けてマグカップを手に取った。気まぐれ猫ちゃんみたいで可愛い。
「これからどうしようかなぁ。フェイは何か予定とかある？」
「特にないよ。クロロもしばらくは大人しくしてる言てたし」
「ふーん……じゃ、しばらくはのんびり生活かな」
なんてことを話しながら、コーヒーをちびちび消費していく。
「当分はこの家が使えるよね？」
「ああ。ま、そう長くは保たないがな」
「十分十分。食材買い……間違えた。盗りに行くついでに、街中ぶらぶらして暇潰せそうなところ探そっか」
「好きにするといいよ。ワタシはすることもしたいこともない」
思い描いていた予定はすっかり崩れてしまったが、これも悪くない。
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ハル(プロフ) - 向日葵さん» ご無事で何よりです…！それはありがとうございます(笑)幸い軽微な被害で済みましたので、すっかり元気に続いています！余震はまだ少し怖いですけれど、元気にやって参りましょう！ (2018年9月15日 13時) (
レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - エルさん» 同郷の方！ご無事で何よりです！本当に、復旧にあたって下さった方々には頭が上がりませんね…H×Hが完結するまでは何としてでも生きてやりますよ！ (2018年9月15日 13時) (レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - ネフェルティティさん» そちらでも台風などで非常に大きな被害が出たとお聞きしております。地震に台風にと最近災害が一際目立っておりますが、どうかお元気で、ご無事でいらっしゃることを心より願っております。温かいお言葉をありがとうございます！頑張りましょう！ (2018年9月15日 13時) (レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - シユウさん» ありがとうございます！何年もお付き合い頂き感無量でございます…！お願い死なないでシユウさん！ (2018年9月15日 13時) (レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - みーたんさん» ありがとうございます！まだまだ頑張って行く予定です！ (2018年9月15日 13時) (レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
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