「ヒソカさん本気でやったら寿司くらい出来ると思うんだけど、まあその辺はご都合主義で」 ページ9
内臓や毛の処理なんて少しもしていなかったにも関わらず、ブハラさんは美味い美味いと七十以上の豚をぺろりと平らげた。味覚と胃袋どこにやったんだ。
それでも当初よりはかなり減った受験生をぐるりと見回し、メンチさんは七十一人の試験通過を告げた。原作との明確な差異が数字に出るとどうにも不安になる。
ドラの棒を持ったメンチさんは、審査もキビシク、などと洒落にならないことを呟きつつ、二次試験後半の内容を言い渡した。
「あたしのメニューは、スシよ！！」
ブハラさんがガレージの奥に下がり、内部が完全に見渡せるようになる。そこにあるのは勿論、巨大なキッチンだ。
スシなる料理の知識がなく困惑する受験生を尻目に、メンチさんはさっさと試験再開を指示した。
「スシって……Aの世界で食べた、あの寿司かな？」
「ええ。まあでもここは負けイベントみたいなもんなので、適当にそれっぽいことしてやり過ごしましょう」
ヒソカさんが刺身包丁でジャグリングしながら問う。よく見もせずに刃物をひょいひょい扱えるものだ。
この試験は私達ど素人がどう足掻いてもクリア出来ないように作られている。やるだけ無駄なことを、ヒソカさんも何となく察したのだろう。包丁をまな板に放り投げた。
「どうします？ 食材探すフリにでも行きますか？」
「そうだね、そうしようか♥ここにいても何もなさそうだし♣」
そう言うや否や、ヒソカさんは私の手を引っ掴んで足早にガレージから出た。やめて下さい他の奴らすごい見てる。クラピカもすごい見てる。スキャンダラスな気分だぜ。
何分身長差が大きく、歩調も合わないので小走りで着いて行った先は、見るからに清涼な川辺だった。川があるのは知っていたけど、こんなに綺麗な所だとは。
適当な石を選んで腰掛けたヒソカさんが、私にぽいっと何かを投げ渡した。トランプの束だ。多分ワンセットを半分に分けてある。
「戦争でもしながら、教えて貰おうか♦君のもう一つの能力♥」
「……テクスチャーしないで下さいね？」
「気が向いたらね♠」
戦争なんて運ゲー、ヒソカさんの独壇場じゃないか。一枚一枚のカードを覚えていられるような頭の作りはしてないし、そもそも最初から何か仕掛けてある可能性だってある。
一応“凝”をしてみたが、オーラが貼り付けられた痕跡はなかった。トランプゲームってこんなに神経すり減らすものだったっけ？
一人疑心暗鬼に陥りつつ、危険な雰囲気のトランプが始まった。
「恐ろしいよこの人。本能的な恐怖を感じてきた。フェイのも怖かったけどヒソカさんマジでヤバイ」→←「たまーにこういうことしてくるから油断禁物なんだよね……嫉妬のレベルが高いというか」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1084人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ココ - 受験が終わってひと段落したのでこの作品のことを思い出し、ここを訪れました。本当に好きな作品で、受験前も新しいお話が追加されるのを楽しみにしながら読んでいたのを思い出しています。書き続けてくださって本当にありがとうございます。心から応援しています！！ (2019年5月27日 23時) (
レス) id: 57a3ca09f7 (このIDを非表示/違反報告)
こどくなおうじ。(テルス)(プロフ) - この作品のことが忘れられず1年ぶりに検索してみたらまだシリーズが続いていて驚きました！とても好きな作品だったので嬉しいです。応援しています！頑張ってください！！ (2018年8月19日 1時) (レス) id: 789d697893 (このIDを非表示/違反報告)
忍乃埼(プロフ) - いつも楽しく主人公の苦労を読んでおります！個人的には1日更新の方が長く楽しんで読めるのでそちらの方がいいです！更新頑張ってください！ (2018年8月15日 19時) (レス) id: 034c8c0db3 (このIDを非表示/違反報告)
エル - 1日毎だと楽しみが増えますし個人的には嬉しいです！！ (2018年8月15日 10時) (レス) id: c9241f0a8d (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - １日毎だと読みやすくて嬉しいです！ (2018年8月15日 10時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
