〃 副題：この後めちゃくちゃらぶらぶした ページ6
CASE３：夢主完全形態予定図
フェイの言葉を認識してから、ポケットに常に仕込んであるナイフを描いた紙に念を込めて具現化し、フェイに斬りかかるまでにかかった時間は一秒にも満たなかった。
銀色に閃いた刃がフェイの首筋に届く寸前、細身の刀のような刃物で私のナイフが止められる。いつもの仕込み武器だ。
ぎりぎりと鍔迫り合いをし、力で勝ち目はないので一旦距離を取る。拍子にテーブルにあったグラスが倒れ、コーヒーが床にこぼれてしまった。
「……フェイ、今、私のこと嫌いって言った？」
「ハ、耳まで役に立たないか？ 聞き間違いじゃないよ」
「そっか。うん、フェイが言うならそうなんだよね。私が悪いに決まってるんだけど、ごめん、フェイを殺して私も死ぬ」
ちゃき、と構えたナイフが音を立てる。嫌われる心当たりなら幾らでも挙げられるが、だからと言って理性的に行動出来る訳ではないのだ。
「今から殺す気でかかるから、死にたくなかったら先に私のこと殺して。フェイが私以外の女と仲睦まじく暮らす世界で生きていたくないから、せめてフェイの手で私を葬って頂戴」
もう私の中ではフェイと一生涯添い遂げるつもりでいたんだけれど、空回りの自意識過剰だったらしい。
それは現実として受け止めるけど、フェイに近付く女を片端から殺して回るのは虚しくて辛いと思うんだ。
「私は生まれ変わってもフェイを愛してるから、私以外の女をまだ愛してないその手で、そうだな、面倒だろうけど、出来たら絞殺だと嬉しいかな。飽くまで私の希望だから普通に刺し殺してくれても良いんだけど」
「……」
「私のことは覚えててくれなくても良いよ！ ただ、私を生かしたまま別の女に手を出すのはやめて欲しいの。それだけはお願い」
ね？ と小首を傾げて、柄を握り締める。もしフェイを殺すことに成功したら、それはそれでドラマチックだ。何せこのナイフは私のオーラなのだから。
ぐっと足にオーラを溜め、飛びかかろうとしたのと同時。「ストーーップ！」と、場の空気を挫く声が響いた。
「ちょっとカメラ止めて！ もう、何この展開、予想してないよ！」
「……シャルさん？」
慌てた様子のシャルさんと、カメラを携えたフィンがどやどやと部屋に入って来る。何だこれ、テレビでよく見るドッキリみたい──
「まさか……今日、四月一日……」
呆然とする私に、シャルさんが気まずい笑顔でサムズアップをかました。
「いやあのね、すっごい、ぶっちゃけると性的。あだるとりおが一人は伊達じゃないっていうか、刺激が強いんだよね！！」→←〃 副題：翌年は「別れよう」でした
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ココ - 受験が終わってひと段落したのでこの作品のことを思い出し、ここを訪れました。本当に好きな作品で、受験前も新しいお話が追加されるのを楽しみにしながら読んでいたのを思い出しています。書き続けてくださって本当にありがとうございます。心から応援しています！！ (2019年5月27日 23時) (
レス) id: 57a3ca09f7 (このIDを非表示/違反報告)
こどくなおうじ。(テルス)(プロフ) - この作品のことが忘れられず1年ぶりに検索してみたらまだシリーズが続いていて驚きました！とても好きな作品だったので嬉しいです。応援しています！頑張ってください！！ (2018年8月19日 1時) (レス) id: 789d697893 (このIDを非表示/違反報告)
忍乃埼(プロフ) - いつも楽しく主人公の苦労を読んでおります！個人的には1日更新の方が長く楽しんで読めるのでそちらの方がいいです！更新頑張ってください！ (2018年8月15日 19時) (レス) id: 034c8c0db3 (このIDを非表示/違反報告)
エル - 1日毎だと楽しみが増えますし個人的には嬉しいです！！ (2018年8月15日 10時) (レス) id: c9241f0a8d (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - １日毎だと読みやすくて嬉しいです！ (2018年8月15日 10時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
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