8/15 更新�� ページ40
始終ヒソカさんの隣にいたからか、ゴンキル二人組に話しかけられるようなこともなく、およそ二時間の航海を経てゼビル島に辿り着いた。
船が減速し、恐らく試験の為に拓かれたのだろう草むらに面した岸に停泊する。スタート地点は島の端に近い。コミックで描写された島の全景の上端近くに、確かこのくらいのスペースがあったはずだ。
船内で努めて明るく振舞っていたお姉さんが、細かなルールを追加で説明する。事前に知ってはいても、一週間もこんな無人島で過ごさねばならないなんて乙女にとっちゃ死活問題である。
幸い水場はあるようなので、監視をどうにかしてから原始的に水浴びを楽しむとしよう。たまには文化レベルを下げるのも悪くはない。たまにはね。
お姉さんのアナウンスで、原作通り、タワーをトップ通過したヒソカさんがいの一番に島の土を踏んだ。そのまま木々の闇に姿を消す──かと思いきや、数メートル先でいきなり船を振り返り、腕組みをして立ち止まったではないか。
お姉さんも困惑しているようだが、スタートしてからの行動は各々の自由なので何も言えない。まして相手はあのヒソカだ、お姉さんは意味もなくストップウォッチを凝視し始めた。
ここで一つ、説明しておこう。私がイルミさんと協力(笑)してタワーを脱出したのは、時間的には同時だった。しかし、一階広間に先に足を踏み入れたのは私。
つまり、ゼビル島に二番目に立ち入るのも私ということになるのだが──まさかまさか。嫌な予感たっぷりにヒソカさんを見ると、丁度目が合って、しかも手を振られた。間違いない、あの人、私のことを待ってやがる。
「二番、スタート」
恐る恐る、といった様子でお姉さんが私を横目で見る。笑顔で頷いてタラップを降り、にこにこ笑顔を深めたヒソカさんを通りすがりざま殴ろうとしたのだが、容易く受け止められてしまった。まあそうだろうな。
「あのですねヒソカさん、今ので二分貴方の時間が奪われてしまったわけですが？」
「その程度、ハンデにもならないよ♣」
言外に「ちょっとくらい別行動しませんか」と伝えたかったのだが、どうやら伝わらなかったらしい。そろそろ私のイメージがすごいことになっている気がする。
とはいえ待たれてしまったのは仕方がないので、二人で仲良く連れ立って森の奥へと進んだ。さり気なく歩調を合わせてくれる気遣い、それをもう少し違うベクトルに向けてさえくれれば。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1084人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ココ - 受験が終わってひと段落したのでこの作品のことを思い出し、ここを訪れました。本当に好きな作品で、受験前も新しいお話が追加されるのを楽しみにしながら読んでいたのを思い出しています。書き続けてくださって本当にありがとうございます。心から応援しています！！ (2019年5月27日 23時) (
レス) id: 57a3ca09f7 (このIDを非表示/違反報告)
こどくなおうじ。(テルス)(プロフ) - この作品のことが忘れられず1年ぶりに検索してみたらまだシリーズが続いていて驚きました！とても好きな作品だったので嬉しいです。応援しています！頑張ってください！！ (2018年8月19日 1時) (レス) id: 789d697893 (このIDを非表示/違反報告)
忍乃埼(プロフ) - いつも楽しく主人公の苦労を読んでおります！個人的には1日更新の方が長く楽しんで読めるのでそちらの方がいいです！更新頑張ってください！ (2018年8月15日 19時) (レス) id: 034c8c0db3 (このIDを非表示/違反報告)
エル - 1日毎だと楽しみが増えますし個人的には嬉しいです！！ (2018年8月15日 10時) (レス) id: c9241f0a8d (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - １日毎だと読みやすくて嬉しいです！ (2018年8月15日 10時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
