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「遅かったね♥」
第一声がこれだから、ヒソカさんは意地が悪い。つい七時間ほど前、私が試験攻略について噛み付いたことをしっかり覚えていらっしゃるようだ。
「それはもう、色々とありまして。ね、ギタラクルさん」
「俺だけなら五十分は短縮できた」
「……ごめんなさい」
「別に」
特に気にした様子もなく、ただ事実を述べただけといった調子だが、生憎と今は耳が痛くてならない。それはそれは楽しそうな笑顔のヒソカさんに手招きされ、断るわけにもいかずおずおずと隣に腰を下ろした。イルミさんは距離を取っている。
全く、あれだけ一人意気込んでおきながらこのザマとは、我ながらため息が止まらない。言葉通り待たせてしまったヒソカさんは、退屈そうにトランプを弄んでいた。カードが手の中で増えて、減って、消える。
「どうだった？ ギタラクルとのデートは♣」
ゼロから五枚に増えたカードで扇子のように口元を隠しながら、ヒソカさんが聞いてきた。目が細められている。笑っているのか、見透かそうとしているのか判別がつかない。
「そうですね……ピークとしては、囚われの私を救い出してくれましたよ」
「ありがちな展開だ♠他には？ この加工のこととかさ♦」
すっぱりと断ち切られて、肌が露出していた腹部を不意打ちでなぞられ、素っ頓狂な声を上げて慌てて手を振り払った。油断も隙もないセクハラである。乙女の貞操を何だと思ってるんだ。
「これはギタラクルさんと合流する前にヘマしてやらかしたアバンギャルドなダメージ加工です！」
「刺激的でいいね♥もう少し下なら最高だったのに♣」
もう少し下、というと丁度おへそが見える。そういうチラリズムがお好きですかそうですか、残念ながらフェイは露出がそんなに好きじゃない様子なのでその方針は採用しません。などと、勿論口には出さない。
とはいえ、破れたお洋服をそのままにしておくのも、女の子として頂けないだろう。アラサーだけど見た目若いからその辺気にしないといけないのである。
扇子代わりのトランプを畳んだヒソカさんは、とりあえず私とイルミさんとの間に何かしらなかったとどこかで確信したらしく、トランプタワーを作り始めた。次から次へと出てくるトランプの出所は間近で眺めても判然としない。
一度も崩れることなく段を増やしていくタワーを三段めまで見守ったところで、私も私のやりたいことをすることにした。言わずもがな、服の修繕だ。
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ココ - 受験が終わってひと段落したのでこの作品のことを思い出し、ここを訪れました。本当に好きな作品で、受験前も新しいお話が追加されるのを楽しみにしながら読んでいたのを思い出しています。書き続けてくださって本当にありがとうございます。心から応援しています！！ (2019年5月27日 23時) (
レス) id: 57a3ca09f7 (このIDを非表示/違反報告)
こどくなおうじ。(テルス)(プロフ) - この作品のことが忘れられず1年ぶりに検索してみたらまだシリーズが続いていて驚きました！とても好きな作品だったので嬉しいです。応援しています！頑張ってください！！ (2018年8月19日 1時) (レス) id: 789d697893 (このIDを非表示/違反報告)
忍乃埼(プロフ) - いつも楽しく主人公の苦労を読んでおります！個人的には1日更新の方が長く楽しんで読めるのでそちらの方がいいです！更新頑張ってください！ (2018年8月15日 19時) (レス) id: 034c8c0db3 (このIDを非表示/違反報告)
エル - 1日毎だと楽しみが増えますし個人的には嬉しいです！！ (2018年8月15日 10時) (レス) id: c9241f0a8d (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - １日毎だと読みやすくて嬉しいです！ (2018年8月15日 10時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
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