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上空から観察して、辛うじて軌道だけは捉えられた。一切無駄のない軌跡を描き、イルミさんは囚人たちの背後で静止する。その胸の針は、丁度十本減っていた。
「檻はどうやって降ろすの？ 教えて」
イルミさんが聞いた。何のてらいもない、試験の主旨にはそぐわない端的な質問。しかしながら、何も進展がないと思ったら大間違い。囚人の一人が、イルミさんに懇切丁寧に降ろし方を説明しだしたではないか。
説明に沿って壁際で何らかの作業をすると、レバーが現れた。イルミさんがそれを引くと、がくんと檻が揺れて緩やかに高度を下げ始め、きりきりと細かな金切り音が響く中、私の足は無事に地面へと戻ってきた。
「鍵は？」
「一筋縄ではいかなそうな」囚人たちは、イルミさんの横柄な態度に一言の不満も漏らさず、忠実な執事のように恭しく開け方を言う。無論、それに虚偽の報告が混ざってなどいない。試験開始から一分と待たずして、私は解放された。
種明かしをするまでもなく、これはイルミさんの能力である。最終試験でお披露目されたように、彼の針にはこうして強制的に自白させる使い方もあるらしい。怖すぎて詳細は聞いてないけど。
彼らにとって幸いなのは、この程度なら死ぬほどではないことか。一人一人針を回収するたびに白目を剥いて倒れて行くけど、十分も経てば覚醒するらしい。……私が聞いた範囲では、あくまで「らしい」の範疇を超えないのが恐ろしいところだ。どうか彼らが無事に余生を送れますように。
さて、檻は降ろされ、私も解放された。試験の指示では「答えを聞き出し」としか言われていない。誰も「質問の答えからルールを解き明かし」とか、そういう旨のことは言っていないのだ。だからこそ、こんな反則技のような強硬手段に出られる。
イルミさんと揃ってスピーカーがあると思しき場所を見上げる。しばしの沈黙の後、壁の一角に新たな入口が出現した。無事、クリアである。
──その後。転がってくる大岩を(イルミさんに放り投げられたせいで無理やり)私が殴り壊したり、床も壁も天井も帯電した通路を俵担ぎで運ばれたり、その他諸々云々の障害を乗り越え、私たちはようやく一階に辿り着いた。所要時間は約七時間。ヒソカさんに対し、一時間も遅れを取ったことになる。
ワンチャン私の介入で遅くなったりしていないか、と期待半分不安半分だったのだが、ヒソカさんは既に一階広間で待っていた。何ともまあ、余裕そうな笑顔だった。
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ココ - 受験が終わってひと段落したのでこの作品のことを思い出し、ここを訪れました。本当に好きな作品で、受験前も新しいお話が追加されるのを楽しみにしながら読んでいたのを思い出しています。書き続けてくださって本当にありがとうございます。心から応援しています！！ (2019年5月27日 23時) (
レス) id: 57a3ca09f7 (このIDを非表示/違反報告)
こどくなおうじ。(テルス)(プロフ) - この作品のことが忘れられず1年ぶりに検索してみたらまだシリーズが続いていて驚きました！とても好きな作品だったので嬉しいです。応援しています！頑張ってください！！ (2018年8月19日 1時) (レス) id: 789d697893 (このIDを非表示/違反報告)
忍乃埼(プロフ) - いつも楽しく主人公の苦労を読んでおります！個人的には1日更新の方が長く楽しんで読めるのでそちらの方がいいです！更新頑張ってください！ (2018年8月15日 19時) (レス) id: 034c8c0db3 (このIDを非表示/違反報告)
エル - 1日毎だと楽しみが増えますし個人的には嬉しいです！！ (2018年8月15日 10時) (レス) id: c9241f0a8d (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - １日毎だと読みやすくて嬉しいです！ (2018年8月15日 10時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
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