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「お兄さんをボコしゃ私の勝ちだし、黙る理由がないんだよね。女と侮ってたら痛い目見るぜ」
急造品の実力でも、それでも並大抵でない力量を揃えた自信はある。何てったって師はあの旅団だ、これで弱かったら彼らに恥というもの。
ナイフを深く握り直し、再度進撃。こちらを振り向かないままに玉鋼で刃を受け止めるヤギュウの余裕っぷりに苛立ちつつ、今度は弾かない。弾かず、“周”をナイフに施してそのまま押し込む。
元々が私のオーラの塊であるから当然親和性は高く、自慢の刀に僅かに食い込むのを感じ取ったヤギュウは、ほとんど力任せに私を薙ぎ払った。流石にリーチの差には勝てずに一旦下がり、隙を与えず三度目。
近距離で何度ナイフを振るっても全て防がれる。範囲内の攻撃は、生半可なものはほぼ無効化されると考えていいな。力押しが叶うならそうしたかったけれど、生憎とこちらには長物がない。
今から刀を具現化することはできなくもないが、能力の一端でも協会の奴らに握られたくはないのだ。私が弱いからとは言い切らないけれど、アドバンテージは残しておくべきである。
何度か切り結んで分かったことといえば、ヤギュウの制約の仮説だろうか。多分、この能力を使うには、その場から動いてはいけないのだろう。その証拠にヤギュウは最初の位置から一歩も動いていない。
ならば無理やりにでも動かしてやればいいのだが、さてどうしようか。蹴りを入れれば刀が防ぐし、近接戦でどうこうするのは不可能と判断していい。
オーラを総動員すれば、多少のかすり傷を代償に押し切れるだろうけれど……この試験で出していい実力は五割まで、とシャルさんと約束してある。
私を心配してでは全くなく、「この程度の試験で本気出すようなバカがいる？」と、真っ黒シャルさんのお言葉だ。約束破ったらしばらくこき使われる。それは避けたい、何としても！
「ふん……盤石だね、お侍」
「お主は想定していたよりも軽いな」
「今の内にさえずってな、今にそのご自慢の得物を無用の長物にしてやるよ」
ヤギュウの正面に回り、ナイフは一度収める。入れ替わりに鞄から一本のスプレー缶を取り出した。動き回る女の子の味方、ヘアースプレーだ。残量は十分にある。
急に何かを取り出した私に訝しげな顔をするヤギュウは無視して、もう一つ取り出すのはライター。フェイから貰ったお高いやつではなく、コンビニで売っているような百円の安物だ。
では、ヤギュウを歩かせるとしよう。
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ココ - 受験が終わってひと段落したのでこの作品のことを思い出し、ここを訪れました。本当に好きな作品で、受験前も新しいお話が追加されるのを楽しみにしながら読んでいたのを思い出しています。書き続けてくださって本当にありがとうございます。心から応援しています！！ (2019年5月27日 23時) (
レス) id: 57a3ca09f7 (このIDを非表示/違反報告)
こどくなおうじ。(テルス)(プロフ) - この作品のことが忘れられず1年ぶりに検索してみたらまだシリーズが続いていて驚きました！とても好きな作品だったので嬉しいです。応援しています！頑張ってください！！ (2018年8月19日 1時) (レス) id: 789d697893 (このIDを非表示/違反報告)
忍乃埼(プロフ) - いつも楽しく主人公の苦労を読んでおります！個人的には1日更新の方が長く楽しんで読めるのでそちらの方がいいです！更新頑張ってください！ (2018年8月15日 19時) (レス) id: 034c8c0db3 (このIDを非表示/違反報告)
エル - 1日毎だと楽しみが増えますし個人的には嬉しいです！！ (2018年8月15日 10時) (レス) id: c9241f0a8d (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - １日毎だと読みやすくて嬉しいです！ (2018年8月15日 10時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
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