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全く気に留めた様子もないヒソカさんは、それよりも台座に置かれた手錠が気にかかったらしい。念がかかっている痕跡がないと判断して手に取った銀色は、ぱっと見では何の変哲もないただの手錠だ。
「……これをどうしたらいいんでしょうね」
「何か説明書きは？」
指先でくるくると輪を回しながら、ヒソカさんがぐるりと部屋を見渡す。私もそれに倣うと、丁度私が降り立った所の真後ろに張り紙を見つけた。
「えー……『一蓮托生の道』、ですって」
「他には？」
「特に何も」
念文字が書かれた形跡もなく、ただこの道の呼称だけが書かれた張り紙。テープで止めただけのそれを剥がして裏を見ても何も書いてはおらず、私達は揃って首を傾げた。
「……可能性は二つ、でいいですか？」
「ボク達がそれぞれ手錠をかけるか、どちらか一人が手錠をかけるか♣」
ヒソカさんの可能性候補に異論はなく、私もこくりと頷く。
手錠で二人を無理やり繋いでしまえば、それは強制的に一蓮托生することとなる。一人だけが拘束されるならば、もう一方が手錠をかけた側を守らなければいけなくなる。
指示が特にないのなら、どちらか選べということだろう。絶対に二人が揃って合格するか、或いは見捨てられる逃げ道を残しておくか。
「……しかしですよ、手錠を使えという指示はない訳ですし、別にそれは放置でもいいのでは？」
「うん♦これ見よがしに置かれているけど、わざわざ使ってやる道理はないよね♠」
私が思い付きをそのまま口にすると、ヒソカさんは存外あっさりとそれを肯定した。あれ、面白そうだしとか言って使うもんだと思ってたけど、違ったのか。
「ただ、この部屋に出口がないから、恐らくはこれがスイッチになってるんだろうけど♥」
にっこり笑顔が恐ろしいヒソカさんの言葉で、私は慌てて部屋の壁を四方全て確認する。確かに言う通り、出入り口らしきものが一つもない。
原作では全ての道が監視下にあったっぽいし、手錠の使用を確認してから出口を開放することくらい造作もないのだろう。畜生、無駄なことしなくていいと思ったのに。
「……壁に横穴開ければ、そんなもの使わなくても……」
「道の趣旨に反するけど、違反行為として失格にならないといいね♠」
「うぐ」
打って変わって楽しげなヒソカさんが、鎖をまさしくこれ見よがしに鳴らしながらじりじりと距離を詰めてくる。
「どっちがいい？ それくらいは選ばせてあげよう♥」
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ココ - 受験が終わってひと段落したのでこの作品のことを思い出し、ここを訪れました。本当に好きな作品で、受験前も新しいお話が追加されるのを楽しみにしながら読んでいたのを思い出しています。書き続けてくださって本当にありがとうございます。心から応援しています！！ (2019年5月27日 23時) (
レス) id: 57a3ca09f7 (このIDを非表示/違反報告)
こどくなおうじ。(テルス)(プロフ) - この作品のことが忘れられず1年ぶりに検索してみたらまだシリーズが続いていて驚きました！とても好きな作品だったので嬉しいです。応援しています！頑張ってください！！ (2018年8月19日 1時) (レス) id: 789d697893 (このIDを非表示/違反報告)
忍乃埼(プロフ) - いつも楽しく主人公の苦労を読んでおります！個人的には1日更新の方が長く楽しんで読めるのでそちらの方がいいです！更新頑張ってください！ (2018年8月15日 19時) (レス) id: 034c8c0db3 (このIDを非表示/違反報告)
エル - 1日毎だと楽しみが増えますし個人的には嬉しいです！！ (2018年8月15日 10時) (レス) id: c9241f0a8d (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - １日毎だと読みやすくて嬉しいです！ (2018年8月15日 10時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
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