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宣言通りに“円”を活用しながらの入浴は、体は綺麗になっても心は休まらなかった。三次試験で休む時間が取れるといいのだけれど。
タオルで髪をがしがし吹きながら休憩スペースに戻ると、明らかに他の受験生から避けられまくっているヒソカさんを容易に発見する。分かりやすくて結構。
「お帰り♥」
「ただいまです。ヒソカさんは寝ないんですか？」
「うん♣寝る気分でもないから♦……そういう君は？」
「右に同じですかね。寝ないでも大丈夫なようにされたんで」
あれはしんどかった。暇に物を言わせたクロロさんが、私を既に寂れた街に連れて行き、一週間の防衛戦を強制執行したのだ。
防衛戦とはいえ、守るものは自分の体だけでいい。……といっても、攻勢側はフェイとフィン、ついでに同じく暇していたシャルさんの三人。端的に言おう。寝た瞬間が私の最期であったと。
がたがた震えながらビルに隠れても、五階だっていうのにフィンが窓から飛び込んでくる。這々の体で逃げ切ったと思えば、待ち構えていたシャルさん。
襲い来るアンテナをどうにかこうにか避け切って、ここならどうだと身を潜めた一軒家は、フェイの仕込み刀の一閃によって家の形をなくす始末。
司令塔にシャルさんを置き、フィンが炙り出し、シャルさんが待ち伏せして、私の行動パターンをフェイが読む。どう考えても無理ゲーな一週間、私は一睡もすることなくめっちゃ頑張った。
結局、最終日を迎える直前に限界を迎えてぶっ倒れ、随分と楽しそうなフェイに俵担ぎで持ち帰られた訳だが。余程私をいじめ抜いたのが面白かったらしい。そんなところも好き。
……それは置いておいて。そんなこんなで、軽く一週間程度なら意識を保っていられるようになった。悉く荒療治の好きな方達である。
へえ、と聞いた割には関心の薄そうな相槌を打って、ヒソカさんは積み上がったトランプタワーを指先で突いた。ぱらぱらと床に散らばるトランプで興奮できるヒソカさんはある意味得な性癖をしていると思う。
「今、ちょっと失礼なこと考えなかった？」
「そっ、そ、そんなことないですよ？」
相変わらず速攻で読心術を使ってくるヒソカさんから目をそらしつつ、私の方にまで滑ってきたトランプを集めて手渡す。
こうして触ってみてもやっぱり普通のトランプが、まさか人を殺す道具になるとは誰も夢にも思うまい。しかし、数多の血を吸ってきたにしては綺麗なものだ。
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ココ - 受験が終わってひと段落したのでこの作品のことを思い出し、ここを訪れました。本当に好きな作品で、受験前も新しいお話が追加されるのを楽しみにしながら読んでいたのを思い出しています。書き続けてくださって本当にありがとうございます。心から応援しています！！ (2019年5月27日 23時) (
レス) id: 57a3ca09f7 (このIDを非表示/違反報告)
こどくなおうじ。(テルス)(プロフ) - この作品のことが忘れられず1年ぶりに検索してみたらまだシリーズが続いていて驚きました！とても好きな作品だったので嬉しいです。応援しています！頑張ってください！！ (2018年8月19日 1時) (レス) id: 789d697893 (このIDを非表示/違反報告)
忍乃埼(プロフ) - いつも楽しく主人公の苦労を読んでおります！個人的には1日更新の方が長く楽しんで読めるのでそちらの方がいいです！更新頑張ってください！ (2018年8月15日 19時) (レス) id: 034c8c0db3 (このIDを非表示/違反報告)
エル - 1日毎だと楽しみが増えますし個人的には嬉しいです！！ (2018年8月15日 10時) (レス) id: c9241f0a8d (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - １日毎だと読みやすくて嬉しいです！ (2018年8月15日 10時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
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