3/10 更新�� ページ18
「どうです、ヒソカさん。ここから飛び降りて無傷で生還する算段は？」
「行って戻って来ればいい話だろう？ 算段を立てる必要なんてないよ♣」
岩壁をよじよじ登って帰ってきたメンチさんを横目に、私たちは崖の下を覗き込む。霧がかっていて下まで見ることはできないが、まず死なない高さではないのは確実だ。
私もヒソカさんも、高所から落下したところでどうとでもなる念を持っているから特に心配はしていない。そもそもヒソカさんはこの程度のことに心配はしないだろうけど。
「じゃあまあ、行きますか」
意気揚々と飛び込んで行った主人公四人組を追いかけるように、私達もぴょいっと断崖絶壁から飛び降りる。
全く、高所からダイブするのはこれだけにしたかったのに、変なテロリストが出るから短いスパンで二度もやる羽目になってしまった。許し難い。
ぐんぐん近づく川と糸を視認し、このまま川に突っ込めば自然な流れでフェイの所に帰れるかしらんと思いつつ、試験は合格したいので糸を鷲掴みにする。
これだけの運動エネルギーがかかったというのに、クモワシの糸は少しも千切れる様子を見せない。これが動物の神秘ってやつか。
そういえば、アニメ版では孵化と同時に上昇気流が発生してクモワシの幼鳥が空を飛ぶ設定だったけれど、原作の世界観ではどうやって生き延びているんだろう。
どうでもいいことを考えながら卵を一つむしり取り、ちらりと横のヒソカさんを見る。やはりというか何というか、糸に足をかけてぶら下がる様子すら様になるとは。
「ヒソカさん、さっさと上がっちゃいましょう。ここちょっと潮臭いんで」
「ああ、海と繋がってるんだったっけ♦いいよ、早く戻ろうか♣」
言うや否や、腹筋を使ってぐるりと糸の上に立ち、細くて不安定なそこを普通の道のように歩いて、壁に背を預けるヒソカさん。ちょいちょい、と手招きされては、こちらも黙っている訳にはいかない。
真似っこして糸に立ち、予想以上に揺れまくる足場にビビり散らした私は、勿論歩くなんて出来ずに一飛びで壁を掴んだのだが。
「……お、落ちるかと」
「無理しなくてよかったのに♥」
「細やかな対抗心ですよ。笑わないで下さい、正直情けないんで」
くつくつと至極愉快そうに喉を鳴らすヒソカさんは、珍しく何のてらいもなく私の醜態が面白かったらしい。こういう笑顔も出来るのがヒソカさんのいいところだ。
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ココ - 受験が終わってひと段落したのでこの作品のことを思い出し、ここを訪れました。本当に好きな作品で、受験前も新しいお話が追加されるのを楽しみにしながら読んでいたのを思い出しています。書き続けてくださって本当にありがとうございます。心から応援しています！！ (2019年5月27日 23時) (
レス) id: 57a3ca09f7 (このIDを非表示/違反報告)
こどくなおうじ。(テルス)(プロフ) - この作品のことが忘れられず1年ぶりに検索してみたらまだシリーズが続いていて驚きました！とても好きな作品だったので嬉しいです。応援しています！頑張ってください！！ (2018年8月19日 1時) (レス) id: 789d697893 (このIDを非表示/違反報告)
忍乃埼(プロフ) - いつも楽しく主人公の苦労を読んでおります！個人的には1日更新の方が長く楽しんで読めるのでそちらの方がいいです！更新頑張ってください！ (2018年8月15日 19時) (レス) id: 034c8c0db3 (このIDを非表示/違反報告)
エル - 1日毎だと楽しみが増えますし個人的には嬉しいです！！ (2018年8月15日 10時) (レス) id: c9241f0a8d (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - １日毎だと読みやすくて嬉しいです！ (2018年8月15日 10時) (レス) id: b6e0dc5b12 (このIDを非表示/違反報告)
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