「試験をどうしようか悩んだ末にこれだよ！ 笑え！ いっそ笑え！ 露骨な時間稼ぎでした！」 ページ27
「戦っても勝てそうにないからな。口で勝負と行こう」
「はあ」
我ながら腑抜けた声が出た。口で勝負って、またクイズでも出すのだろうか。それとも古今東西でもする？
「そう退屈そうな顔をするなよ。折角、念能力で勝負しようってんだから」
傍らを飛んでいた蝶が、胴体の真ん中からぶっつりと切断された。鱗粉がはらりと散り、輝きを喪失しながら蝶の半身と共に落ちて行く。
男が攻撃した様子は無い。考えられるとしたら、空間の断絶だ。しかしそれは余りにも目立ち過ぎる。恐らく、現実世界のコピーか何か。
「そこまで時間も取らせんし、ルールも説明する。安心して──」
何だか面倒臭そうな気配がしたので取り敢えず殴りかかると、拳は男の寸前で不可視の壁に防がれた。
引きつった笑みを見せる男は、二、三歩後退って「君、狂人かい」と失礼なことをほざいた。こいつは割と許さないリストに入れておこう。
「何つー行動力だよ……まあ、今実証した通り、ここじゃ暴力行為は禁止だ。言葉が、何よりも力を持つ」
「そいつあ平和的で結構なことだね」
えらく使い古された厨二の代名詞みたいな能力を持ちやがって、ちょっとテンション上がるじゃないか。地味に幽白っぽいし、若干腹立つリストの方に移動させよう。
「ルールは簡単だ。四字熟語、慣用句、諺。この三つのイメージで相手の言葉に対抗し、一方が答えられなくなったら終わり。どうだ？ 単純だろ？」
「負けの基準が明確じゃない。減点。降参形式？ 時間制限？」
「いやいや、そんな生易しいものじゃぁない。やれば分かるさ」
「仮にあんたが死んでも私は出られるんだよね？」
「自信家だな……勿論、出られるぞ」
「おっけ。じゃ、先手は譲ろう」
さあどうぞ、さっさとしろよ、と目で促し、悠然と腕を組む。ただ勘違いしないで欲しいが、私はこれでも彼を警戒しているのだ。
舐め腐った態度で臨めば、どうであろうと相手の出方は単調になる。舐めプ大好きマイダーリン直伝である。
「後悔するなよ、君。そうだなあ……初手だし、簡単な所から行くか。『砲煙弾雨』っと」
「『金城鉄壁』」
簡単とか言いながら結構マイナーな四字熟語を言い放つ男に、半ば被せ気味に私も男曰く「何よりも力を持つ」言葉を口にした。
タイムラグは殆どなく、私の周囲三百六十度を完全に囲む、堅牢な壁が現れる。壁の外側に、大量の何かがぶち当たる音がした。
やっぱり、こういうタイプかね。
「正直に申し上げると四字熟語を検索するのクッソ楽しいから一度はやった方が良い」→←「私物凄いクズみたいな行動取ってない？ 私がこんな奴に会ったら確実にぶん殴ってるわ」
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ロキ(プロフ) - エーミール少年が登場しとる笑 (2020年2月20日 21時) (
レス) id: 2da3670e3a (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - みーたんさん» わーい閲覧ありがとうございますー！ うーん…原作軸に沿って動くだけでかなり暇がないので、子育てさせるなら捨て子拾うとかそんな感じになりますね (2017年3月26日 15時) (レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
みーたん - 更新されたの見ました！後、質問です。将来フェイと夢主の間に子供とかできたりするんですか。フェイと夢主の子育てシーンとか見たいです (2017年3月26日 9時) (レス) id: 46104a2fe8 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 紫月さん» この小説ももう49話埋まってしまったよ…。言うてやったのは膝カックンだけどね！(ショボい)元の世界についてはまだ言及しないかな〜…といった感じ。ただどっかのタイミングで一時帰界させないとなあ、とは考えてる所！ (2017年3月26日 0時) (レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - みーたんさん» ああああありがとうございます……！！！ (2017年3月26日 0時) (レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
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