「なんかただいたいけな子供に説教かますクソババァみたいになってるんですけどやだー！」 ページ22
波にさらわれて来た木片を蹴り飛ばし、反動で船の上に戻る。ゴン君はしっかりとカッツォを掴んでいてくれた。
「は、……ッはぁ……」
自然、呼吸が荒くなる。ばしばし叩き付ける雨を気にする余裕もなく、私は呑気に胸を撫で下ろしているゴン君の頭をぶん殴った。一応“纒”は解いて。
「このっ……馬鹿か！ あ！？ 何考えて……君何なの！ これ！ この海を見て怖いとは思わんかね！ えぇ！？」
「でも、掴んでくれたじゃん」
「そういうこっちゃないんだよねお姉さんが言いたいのは！ あー、もー、もう！ 取り敢えず船室行くよ！ 二人も！」
「は、はい」「お、おう」
カッツォの手当ても終え、四人揃った所で。船長さんの合格宣言はちょっと後にして頂き、私は今、ゴン君と向かい合っている。彼の背後にはクラピカ達。
「……ゴン君」
「うん」
「私は君と会って間もないけれども」
「うん」
「君のような未来ある少年があんな所で命潰えるのは、中々悲しいものなんだよ」
「……うん」
ゴン君に死なれたらシナリオが訳わからんことになるし。この世界はゴン君中心に回ってんだから。
「我が身を賭して他人を救う。大変結構。素晴らしい。だがてめーの実力を弁えなさいって話なのよね」
「…………」
「今回は私がいたから良かったけれども。もしあのまま落っこちてたら、君、今頃肺にたっぷり海水が入ってるだろうよ」
まあ多分私がいなけりゃあ原作通りにことが進んだんだろうけども。そこは言わぬが花ってもんだろう。
「でも」
ここまで小さな相槌しか打たなかったゴン君が、不意にはっきりと言う。
「オレが行かなかったら、あの人は死んでた」
「私が行かなかったら君諸共死んでた」
再度押し黙るゴン君。ああクソ、なんか弱いものいじめしてる気分になるじゃないか！
「助けたからどうこう、なんて恩着せがましいことを言うつもりはないけどね、もっと君は……うん、自分を大切にしなさいな」
ちょこん、と椅子の上で身を縮こませるゴン君は、完全に萎縮してしまっているように見える。そりゃあ、他人も同然のアラサーに説教されたらそうなるだろうよ。反省。
私にも私の事情があるとは言え、これ以上やったらただの口うるさいババァだし、この辺で切り上げようかと深く息を吐く。
「……Aさん」
「はい」
そうして締めようとしたタイミングで、ゴン君が私を呼んだ。
「年齢ネタはもうこの辺で十分かな。天丼し過ぎてもあれだしね」→←「いやほんとマジふざけろって話よ。ここは私の出る所じゃねーっつーに」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 764人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ロキ(プロフ) - エーミール少年が登場しとる笑 (2020年2月20日 21時) (
レス) id: 2da3670e3a (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - みーたんさん» わーい閲覧ありがとうございますー！ うーん…原作軸に沿って動くだけでかなり暇がないので、子育てさせるなら捨て子拾うとかそんな感じになりますね (2017年3月26日 15時) (レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
みーたん - 更新されたの見ました！後、質問です。将来フェイと夢主の間に子供とかできたりするんですか。フェイと夢主の子育てシーンとか見たいです (2017年3月26日 9時) (レス) id: 46104a2fe8 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 紫月さん» この小説ももう49話埋まってしまったよ…。言うてやったのは膝カックンだけどね！(ショボい)元の世界についてはまだ言及しないかな〜…といった感じ。ただどっかのタイミングで一時帰界させないとなあ、とは考えてる所！ (2017年3月26日 0時) (レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - みーたんさん» ああああありがとうございます……！！！ (2017年3月26日 0時) (レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
