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高速で動く巨大な鉄の塊にぶっ飛ばされて、無残な肉塊と成り果てる。そんな未来を幻視したのだが。
ぐんっと腕を引かれ、間一髪の所で私はホームに戻された。目の前を電車が通り、前髪を車体が掠める。
すっかり死んだ気でいた私は態勢を整えることすら出来ず、ぽすん、と誰かの胸に背を預ける形になってしまった。
騒めくホーム内。危うく殺人現場、及びバラバラ死体を拝みかけたのだ、当然だろう。
しかし誰より驚いているのは私である。呆然としながらふらふらと上を向くと、白と黒が目に入った。
目を疑う程の対極の色。二、三度瞬きをして、黒はその人の服の色、白はその人の肌の色だと漸く分かった。
「重い」
「え、……あ、すみません」
マスクのようなものに覆われた口が動いて、唐突に一歩間違えば罵倒になる台詞が伝えられる。だがまあこの状態だと重いのは当たり前なので、素直に謝罪をしてその人から離れた。
綺麗な人だ。声からすると男なのだろうが、少女と言っても差し支えないような外見をしている。身長は私よりも十センチぐらい低い。
全身が真っ黒だ。上から下まで。髪も目も、光を吸い込みそうな黒。ただ肌だけが病的なまでに白い。
「あの、助けてくれてありがとうございます」
「血がかかるのが嫌だただけね」
特徴的な喋り方だ。訛りから考えるに、かつてとある地方で絶対的な権力を握っていたとされるシナの人だと思う。
「何かお礼を……」
「要らないよ。別に助けた訳じゃない」
「いえ、私が助けられたのは事実ですので……」
とは言ったものの、さて何をお礼に渡そうか。何一つ譲渡出来るようなものは無い。
漫画なら「お茶でも」とか言う台詞が湧いて出るんだろうが、生憎こんなダサい女とお茶だなんてお礼ではなく罰ゲームの領域だ。却下。
だが金を渡す訳にはいかない。今の私の財布の中では、電車賃とほんの少しの硬貨が重さを主張するだけで、全額渡してもジュース一本しか買えやしない。そんなもんを渡すだけ迷惑に違いない。
何か、何かないかと鞄の中身を思い起こし、とあるブツの存在が脳裏をよぎった。もう、これしかあるまい。
「すみません、今は何も持っていないので、つまらないものですがどうぞ」
駅のホームに木霊するアナウンスに被せるように素早く言い切り、恩人の腕にブツを押し付け、深く一礼して電車に乗り込んだ。
我ながら情けない。渡せるのが強力な栄養ドリンクだけとは。
続く (更新停止中)
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ハル(プロフ) - 鈴耶さん» 突発性に定評のある私に対してそのような有難いお言葉をかけて下さるとは…一体どこの聖人様でしょうか！？← いつもありがとうございます！！今後も全力で頑張っていきます！ (2016年2月15日 14時) (
レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
鈴耶 - いやぁ、、、！相変わらず素晴らしい作品ですねぇ！､､､とかちょっと偉そうに言ってしまいました(笑)他の作品も楽しく拝見させて貰ってます！更新頑張って下さい！ (2016年2月14日 22時) (レス) id: fb89cb587f (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - にゃんこさん» そんな……そんな温かく有難いお言葉下さっても、私は更新ぐらいしか出来ませんよ!!!! ありがとうございます!!!!! 楽しめるような文章を書けるように日夜努力していきたいと思います!!! (2016年1月10日 3時) (レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 新作の通知がきた瞬間、うおー! 見てー! と心の中で叫んでいたのですが、何故か今日に限って忙しく……やっと、やっと見れました……!(歓喜) 今後の展開が楽しみです! ハルさんのペースで更新頑張って下さい! (2016年1月10日 2時) (レス) id: 88cdc54ef8 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - kirakirabosi746さん» おっふ…システムの未熟さについては本当すみません…！ この四本全部が長編だぜィ！ 楽しく読んで貰えるよう尽力するよー！ (2016年1月9日 22時) (レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
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