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柄にもなく慌てて振り返る。そこには、小柄な少女が立っていた。
明らかにサイズの合っていない大きなマスク。真っ黒なタンクトップに、同じ黒の、やはりサイズの合わないぶかぶかのズボン。
その上にも黒いコートーーこれも大きいーーを羽織っていて、手には分厚い本を抱えている。
外見は、違和感こそあれど激しくおかしい程ではない。しかし何か、決定的に違う。
「此処に居るという事は、念が使えるね？ そんな事は如何だって良いんだが。其の本を渡してくれ。私が必要としている」
本を抱えていない方の、小さく細く、服装の色とは正反対の透き通るような白い手がクロロに向けて差し出される。
言われるがままに、手にしていた本を渡す。微かに触れた彼女の肌の感覚で、クロロはやっと違いの正体が分かった。
彼女には、気配がないのだ。
物体がそこにある限り、例え“絶”をしていてもこれだけ近くにいれば何かがあると感じられる。
彼女には、それがない。背後に立たれても声をかけられるまで気が付かなかったし、今視界に入れていても、少し視線を外せばすぐに見失ってしまうだろう。
向こうから存在を示されないと、認識する事が出来ない。これは異常だ。
「……ねえ、」
「君。本が好きなのだろう」
興味が出て、話しかけようとする。それに被せるようにして、彼女がクロロに問いかけた。
「好き……だが、それが何か？」
質問に答えておいて質問で返すと、彼女は二冊の本を持ち直してクロロを見上げた。
身長はかなり低い。百五十もあるかないか、といった所だ。自然、クロロと目を合わせるには、彼女は首を逸らさなければならない。
青白い首がコートの襟から覗く。隙間に何か刺青のようなものが、見えた。
「此の場所は特別でね。生半可な人間では見付ける事すら出来ん。だと云うのに君はやって来た。素晴らしい。賞賛に値する。
如何だね、君、我が図書館を使う気は無いかね？」
「……図書館？」
「嗚呼、図書館だ。特別な特別な図書館だ。凡人では何度生まれ変わっても触れられないであろう本も大量に揃えてある。其れを無償で貸すんだ、随分な場所とは思わんか」
片手をひらひらと振りながら、心なしか自慢げに首を傾げる少女。
幼い体に不釣り合いな尊大な態度が、やけにハマっている。図書館が特別なら、少女も中々に特別だ。
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ハル(プロフ) - 鈴耶さん» 突発性に定評のある私に対してそのような有難いお言葉をかけて下さるとは…一体どこの聖人様でしょうか！？← いつもありがとうございます！！今後も全力で頑張っていきます！ (2016年2月15日 14時) (
レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
鈴耶 - いやぁ、、、！相変わらず素晴らしい作品ですねぇ！､､､とかちょっと偉そうに言ってしまいました(笑)他の作品も楽しく拝見させて貰ってます！更新頑張って下さい！ (2016年2月14日 22時) (レス) id: fb89cb587f (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - にゃんこさん» そんな……そんな温かく有難いお言葉下さっても、私は更新ぐらいしか出来ませんよ!!!! ありがとうございます!!!!! 楽しめるような文章を書けるように日夜努力していきたいと思います!!! (2016年1月10日 3時) (レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 新作の通知がきた瞬間、うおー! 見てー! と心の中で叫んでいたのですが、何故か今日に限って忙しく……やっと、やっと見れました……!(歓喜) 今後の展開が楽しみです! ハルさんのペースで更新頑張って下さい! (2016年1月10日 2時) (レス) id: 88cdc54ef8 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - kirakirabosi746さん» おっふ…システムの未熟さについては本当すみません…！ この四本全部が長編だぜィ！ 楽しく読んで貰えるよう尽力するよー！ (2016年1月9日 22時) (レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
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