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クロロは不機嫌だった。
傍目からは眉目秀麗な造形をそのままに保っているが、胸の内は壮絶な嵐が吹き荒れている。
どれもこれも、あの成金野郎の所為である。
クロロがずっと読みたいと思っていた本を持っているという情報を得て、成金の屋敷を襲撃した。
途中までは順調であったし、もう少しで本を手に出来たと言うのに、何を思ったか成金野郎はその本を燃やしてしまったのだ。
成金の首を切り裂いて消火するも、時既に遅く。いっそ見事に本は消失してしまった。
修復は不可能。諦めるしかない最悪の状況に、クロロの苛立ちは収まりそうもなかった。
場末の酒場でヤケ酒でもしてしまおうか、と傑物らしくない考えで、街の大通りを逸れて細い裏路地を進む。
どこもそうではあるが、大通りと裏路地の差は大きい。ほんの数メートル距離を置くだけで、自分の靴音ぐらいしか聞くものがなくなるのだから。
クロロの場合は靴音すらしない。分厚いガラスで隔てられたように、大通りの音は遠くに聞こえた。
暫く暗い道を進んで、ふとぴたりと足を止めた。どうして止めたのかは分からない。が、止めねばならない気がしたのだ。
自分の事であるのに不思議な行動に首を傾げて、辺りに視線を巡らせる。
全てを視界に収める前に、クロロの目はとある家に釘付けになった。
こじんまりとした、小さな家だ。いや、窓がないから家ではないのかも知れない。
兎に角その小さな建物。全面を白く塗られた中に、黒檀で造られたらしいシックな扉が嵌め込まれている。
何かに吸い寄せられるように、クロロは建物に歩み寄った。間近で見ても特に違和感はない。強いて言うなら随分綺麗と感じる程度。
目を惹くものなど何一つない建築物に、何故かクロロの興味は尽きなかった。衝動のまま、扉を押し開ける。
「…………何だ、ここは」
内部は、広大であった。
外見からは想像も出来ない程広い広い空間。点在する蝋燭の揺れる炎だけが照明となっていて、どこを見ても薄暗く、全体は把握し切れない。
が、クロロの目には見えていた。奥の景色を見せまいとしているかの如く設置された、高く大きい壁。その全てが、本棚なのだ。
どの本棚を見ても隙間なく、みっしりと大量の本が詰められている。中にはクロロですら知らない言語で書かれた本もある。
刺激された好奇心に逆らわず、クロロは無数の本のひとつに触れた。
「不法侵入とは、随分な精神を持っているね、君」
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ハル(プロフ) - 鈴耶さん» 突発性に定評のある私に対してそのような有難いお言葉をかけて下さるとは…一体どこの聖人様でしょうか！？← いつもありがとうございます！！今後も全力で頑張っていきます！ (2016年2月15日 14時) (
レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
鈴耶 - いやぁ、、、！相変わらず素晴らしい作品ですねぇ！､､､とかちょっと偉そうに言ってしまいました(笑)他の作品も楽しく拝見させて貰ってます！更新頑張って下さい！ (2016年2月14日 22時) (レス) id: fb89cb587f (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - にゃんこさん» そんな……そんな温かく有難いお言葉下さっても、私は更新ぐらいしか出来ませんよ!!!! ありがとうございます!!!!! 楽しめるような文章を書けるように日夜努力していきたいと思います!!! (2016年1月10日 3時) (レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 新作の通知がきた瞬間、うおー! 見てー! と心の中で叫んでいたのですが、何故か今日に限って忙しく……やっと、やっと見れました……!(歓喜) 今後の展開が楽しみです! ハルさんのペースで更新頑張って下さい! (2016年1月10日 2時) (レス) id: 88cdc54ef8 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - kirakirabosi746さん» おっふ…システムの未熟さについては本当すみません…！ この四本全部が長編だぜィ！ 楽しく読んで貰えるよう尽力するよー！ (2016年1月9日 22時) (レス) id: a73d01fcb2 (このIDを非表示/違反報告)
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