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66話 ページ31

「まぁ少し寂しいがわかっ…は?今何と言った?『いつもみたいにキ…ス……』?寝てる間にしてるのか?」
了承の声を出そうと先程の言葉をもう1度咀嚼していた時、聞き逃せない言葉があったのを僕は思い返す。僕がそれを指摘し隣に目をやると、松陽は完全に明後日の方向を向き雑に話を変えようとした。
「…そろそろ寝ますか。ほら子供は早く寝なくてはね」
「そうだな、ってなるか。おい。こっち見ろ。どういうことだテメー」
ぐりぐりと人差し指で頬を突くと松陽は観念したように、そして開き直って言った。
「擦り寄ってきて幸せそうな寝顔見てたらするでしょうキスくらい!愛おしさが溢れてどうしようもなくなって、キスしたくなるんです!起きてる時は照れてしてくれないし……Aが可愛過ぎるのがいけないと思いません?」
「責任転嫁…?寝込みを襲っておいて…?」
1度ではなく常習的にそこまでされておいて起きない僕も僕であるが、この男は先程言っていた思春期どうのこうの話より遥かに危険である。
「…しばらく銀時達と寝ようかな」
「待って待って待ってください。ごめんなさい、もうしませんから」
少し考え込むような素振りを見せれば先程の「良識ある大人」はどこへ行ったのか、僕の肩をがしっと掴み懇願する松陽。大の大人が幼子に必死に頼み込んでいる様子は面白いものがあった。
責任転嫁はどうかと思うが、僕はそれほど悪い気はしなかった。僕が擦り寄るのは松陽への信頼の証であるし、安心感からそのような行動を示したのは確かである。そんな僕に愛おしさを感じ愛情表現へと移った経緯は嬉しさもあった。では何故あのようなことを言ったのか、それは少しの悪戯心である。「好きな人を困らせたい」そのような感情も恋愛の内にあるのだと尋問会で習った。それは一理あるようで、そのような感情から僕は少し松陽に意地悪をしてみたいと思ったのだった。
「……冗談だ。体が戻ったら一緒に寝ような」
僕がそう笑うと松陽は一気に花のように顔を明るくさせ、腕をこちらに伸ばした。と、思ったら僕の寸のところで腕は止まった。理由のわかるその行動に僕はくつくつと笑いを零す。
「良識ある大人か?」
僕がそう聞くと松陽は苦笑いを零して言った。
「『良識ある大人』です」
抱きしめてもらえるのはもう少しあとらしい。待ち遠しく思うのは松陽だけではない、そう伝えられない僕は意地悪なのだろうか。

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作者名:月光 | 作成日時:2018年8月4日 0時

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