【銀魂】不老不死の女は江戸に住んでいます《5》【一国傾城篇】 (ページ37)

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260話・ページ37

Aside〜

何も哀しい事は無いのに其れは止まる事を知らないようだ。拭いても切りの無い、壊れた機械の様だと自分でも笑えてくる。一体僕は如何したんだろうか。下を向くと僕の横に神楽が寝ていて、神楽の横に銀時、其の横に新八が寝ていた。たった今自分は眠っていたのかと気づき、看病をしていたのだがと不思議に感じる。記憶が飛んでるなァと変に客観的に感じていた

如何しても止まらない涙がそろそろうざったくなってきた僕は、三人を起こさないように外に出る。夜風にでも当たったら止まると思ったからだ

屋根の上に登ると丁度夜風が頬を擽る。少し熱を帯びている目元を通る夜風は心地良い。しかし涙は止まってくれないようだ。何故こんなにも出ているのか僕も不思議で不思議で堪らない。別に哀しいわけでは無いんだけどなァと、屋根の棟に座って月を眺める。この儘だったら脱水症状で死んでしまいそうだ。其れも有りかなんて少し笑ってしまう

数刻経った時僕の後ろで足音が聞こえる。振り返ると其処には八咫烏が立っていた

A『朧…だったか。如何した、僕を仕留めに来たのか？』

微笑いながら僕は言うが、此方を向いた朧はギョッとしたような驚いた表情を見せたあと嘲笑って言った。僕の意志とは関係なく出てくる涙に驚いたのだろう

朧「如何した。死が怖いか」

A『いや死なんて怖くないさ死者と会えるんだから。ずっと生きている方が何倍も苦しいし哀しい、置いて行かれる方が何倍も苦しいし哀しいんだぜ。嗚呼、此れ(涙)は気にしなくて良い。勝手に出てくるんだ。僕でも止められない。何故だろうな、理由が見つからないんだ。少し前の記憶も無いし…疲れてるのかもな』

僕が理由を説明すると、そうかと其れだけ言って辺りに静けさが残る。其れだけの会話で、沈黙が少し気不味い。しかし何故此奴はこんな所に居るのだろうか。僕にとどめを刺しに来たわけでも、銀時のとどめを刺しに来たわけでも無さそうだ

A『朧は何故こんな所に居るんだ？暇なのか？』

僕がそう問うと、は？とでも言いたい様な顔をする。質問の仕方間違えたかな。しかし数日前と違いやけに素直だ。少し不気味だと感じた僕は悪くない

朧「仕事だ」

A『何の？』

朧「お前に関係無いだろう」

A『知りたいだけだ』

朧「俺は何も言わん。自分で調べろ。あと其れ(涙)止めろ」

A『如何やって調べたら出てくるんだよ。しかも此れは勝手に出てくるんだから無理だ』