【銀魂】不老不死の女は江戸に住んでいます《5》【一国傾城篇】 (ページ36)

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259話・ページ36

銀時side〜

無意識で自分を守ろうとしているのだろう。此処(万事屋)に来たばっかの時も寝る時は体を丸めていた。最近其れが無くなってきたのに、たった今、前と同じ様に寝ている。何時も強がって弱さを見せないAの弱さが解る。酷く脆いのに強がる此奴は余程の馬鹿だ。そして何もしてやれない俺にも腹が立つ

沈黙を破ったのは新八だ

新八「取り敢えずさんを布団に運びましょう。この儘じゃ風邪引いちゃいますよ」

それもそうかと思い神楽に布団を敷かせ其の上にAを寝かせる。肩と膝の裏に腕を入れて持ち上げても起きないのはやっぱり弱ってるんだなと感じる

そしてもう一つ思うのが、此奴はこんなに小さく軽かったか？何時も俺達の前に立つ背中は大きく頼りになった。だが、実際にはこんなほっそい腕で俺達の前に立っていたんだと思うと、俺が甲斐無く感じる

また何かすると思っているのか神楽と新八は俺の横を離れない。寝ている奴を襲うなんて事はしねーよ。Aを布団に寝かせると、またさっきの様に丸まり眠る。そして其の口からは小さく言葉が漏れる

A『……松陽…』

漏れた言葉と共に出る涙を俺は指で掬う。夢ン中でさえ俺じゃ無理って事ね。虚しくなってふはっと嘲笑った。急に笑い出す俺に不思議と思った神楽と新八は俺の顔を覗く。二人は見た途端眉を下げる。それ程酷い顔をしてたのか。俺は大きなため息をつきながら布団の横に寝転がる。寝ながらも涙を流すAは如何しようも無いくらい可哀想に見えてくる。寝転がる俺を見て神楽と新八もAの側に寝転がり、神楽は俺とAの間にねじ入って来て新八は俺の横に来る

神楽「勘違いすんなヨ、私はただ起きた時A姉が寂しがらない様にしてるだけなんだからナ」

新八「僕はただ看病疲れなだけですから」

此方を向かずにそう言うだけの二人に俺はまた微笑いが出る

銀時「そっかそっか。あんがとよ」

俺は二人の頭をガシガシと少し乱暴に撫でる。しかしその後撫ですぎて神楽に腹に蹴りを入れられたのは解せない。反抗期の娘かよ

Aside〜

嗚呼、明るいな

そう思って目を少し開く。明かりは窓から差し込む月であった。満月では無い、少しだけ欠けた月だ。濃い金糸雀色の月は数日後に満月に成るだろう。上半身を起き上げると頬に水が伝っていた。指先で其れ(涙)に触れる。何故僕は泣いているのだろうか