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258話・ ページ35

Aside〜


A『……?松陽?』

不思議に思い名を呼ぶが何も返答は無かった。代わりに返ってきたのは口に残る柔らかい感触で、嗚呼接吻されたんだなと頭の片隅で考える。好きと言われている様で安心した僕は単純だ。安心感か何なのか不意に瞼が重くなる。開放された視界にはまた光が宿り、目に溜まっていた涙は重力に従って下に落ちる。眩しさの中僕の目に最後微かに映ったのは優しくも苦しそうな微笑い(笑顔)だった

見慣れた銀色が見えたのは光を反射した涙のせいだろうな


銀時side〜


嗚呼やってしまった

そう罪悪感に飲まれながら腕の中にすっぽりと収まるAを見る。Aの目に映るのは俺じゃねーのに、弱っている隙に漬け込んで、俺を見てほしくて気づいたらAの目を塞いで其の震える唇を奪っていた

何で俺に助けを乞わねェんだ。何で死んだ彼奴の背中を追ってんだ。いっその事俺を嫌ってくれりゃ諦められるのに、何でそんな顔で嬉しそうに笑うんだ

なァ、俺を見てくれよ。俺ならAを置いていったりなんてしねェから。何で俺の気持ちに気づいてくれねェんだ。鈍いにも程があんだろなんて静かに眠るAの頬を撫でる

……もう一度、もう一度だけ、そう思って両手で頬を包む。あと数センチ、そう思った時後ろから物音がした。ビクリと肩が跳ね近づく顔は止まる

新八「銀さーん何してるんですか?」

神楽「雑炊温めるのに何分掛かってんだ………ヨ」

ヒョコリと此方を覗く二人と目が合う。二人の目は段々冷たくなっていって、俺は誤解を解こうと抱き締めている手を離した。案の定支えを失ったAは床に頭をぶつける

「「「あっ」」」

鈍い音と共にAの唸り声がした

A『いっ……た……』

余程疲れていたのか其の儘眠りにつく

体を丸めた儘で(・・・・・・・)

其れを見た俺達は苦虫を噛み潰した様な顔になる。そしてふと新八が呟く

新八「銀さん何したんですか…」

神楽「新八の言う通りアル。せっかくA姉も安心して眠れる様になったのに、また元に戻っちゃったヨ」

二人の目線の先には体を丸めた儘眠るAがいる。二人が”俺が何かした”そう思うのは無理ねェが。まぁさっきの事を見たと云うのもあるだろうが、大きな理由としてAの寝方だ。Aは慣れない土地、慣れない人間が居る場で寝る時必ず体を丸めて眠る

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作者名:月光 | 作成日時:2021年2月22日 18時

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