256話【二匹の鬼】 ページ33
Aside〜
後日、重傷者である銀時は体中に包帯をグルグル巻かれ、医者に安静にと言われた為布団の上で寝ている。否、僕以外は皆怪我人だった。丈夫過ぎるのも困ったものだ。神楽と新八も少なからず怪我をしていた為、銀時の隣で寝かせてある。先程三人の様子を見た時に銀時の下半身に新八の足が、頭に神楽の足が乗っかっていて寝ていた。仲が良いなと寝相の悪い二人を銀時から離して寝かせる。暫くすると銀時が目を覚ました。僕は冷えた雑炊を温めなおそうと立ち上がり、電子レンジを開いた。すると懐に入れていた携帯電話が鳴る。画面を確認すると、其処に写っていたのはトシの名だった。今日は休みの筈だが、こんな夜中に何かあったのかと疑問が浮かぶ。怪我人の癖に仕事とはどんな神経をしているのか
A『如何した?何かあったのか?』
僕は電子レンジを見ながら話しかけるが反応は無い。おーいとまた声をかけるが返答は無い儘だ。間違えて押したのかと思ったとき、後ろから足音がした為後ろを振り向く。其処には腹を空かせた銀時。今温めているから少し待ってくれと、言おうと口を開いた時、間違えたと思っていたトシの声が聞こえた
土方「……定々が殺された」
A『…は?』
ピーピーと電子レンジの音だけ万事屋に響いた気がした
A『え、ぁ、な、何故?誰が?何時?』
動揺して思っている事が混ざって上手く喋れない
土方「ついさっきの事だ。誰が何の為にしたかは今から調査する。何か知らねーか?」
ずっと万事屋に居た僕に何が解るんだと普段なら言うところだが、其処まで頭が回らなかった
A『明日、僕も行く』
簡潔にそう言って一方的に電話を切った
携帯電話を下にだらりと下ろす。口から出たのは喉からの小さなくつくつと云う笑い声。台所の窓から差し込む月明かりが目に入ってちかちかと眩しい
誰が殺ってくれたのか解らないが良くやった…!
彼奴はやっと居なくなった、僕が殺してしまいたい程嫌いで憎くい彼奴がやっと!やっと!此の世から!僕が直々に殺してやる事ができなかったのが少し気に食わないが、”死”の結果は同じだ
笑う僕に疑問を持ったのか、銀時は僕に戸惑いがちに声をかける。声掛けに僕は笑いながら振り向く
A『銀時聞いたか!彼奴が、定々が死んだらしいぞ!しかも殺されて!』
嗚呼、最期の瞬間を見たかったなぁ!どんな顔でどんな気持ちで死んでいったのだろうか!痛みに歪む其の顔を見たかったなァ!
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作者名:月光 | 作成日時:2021年2月22日 18時