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7話 ページ8

鈍い音と金属の擦れる音が頭に響く。人間は今日も今日とて飽きずにぼくを殺し続ける。
「こいつは鬼だ!この村に災をもたらすぞ!殺せェ!!」
災いの元をいつまでも村に閉じ込める人間の思考をぼくは理解できなかった。早く殺して何処かに捨て去ればいいだろうと何度思ったか。
心臓を刺され口から血が吹き出す。感情を消しても戻ってくる「痛い」という感情だけは好きになれない。何度経験しても痛いものは痛いらしい。慣れない。
心臓を貫かれ鼓動が緩やかになる。ヒューヒューと喉から音が出ていた。目の前が暗くなり身体に力が入らない。地面に突っ伏したぼくに人間は松明を持ってき来た。お決まりの流れだ。
パチパチと火の燃える音と肉が焼ける匂いがする。燃えて縮む肉に耐えきれなくなり身体が音を出して欠損してゆく。意識して出していない声が頭に響いた。断末魔と言うらしい。遠のく意識の中、人間に手を伸ばした。1人だけでも道連れにしたかったからだ。こんな行動をするということは、ぼくの中に「怒り」「憎しみ」というものが戻ってきたと言ってもいいだろう。伸ばす手を斧で切り落とされたところでぼくの意識は闇に消えていった。
直ぐに意識を取り戻したのだろう。まだ燃える視界と煙と音を上げて修復される身体。指先まで再生されたぼくは炎の中から這い出た。顔に付く煤と泥を手で拭って人間を見た。
あの目がぼくを刺している
何故死なないかなんてぼくが一番聞きたいものだ。人間の信仰する神とやら、何故、ぼくだけ死なないのか。

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作者名:月光 | 作成日時:2018年6月2日 16時

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