6話 ページ7
暗くなると夜になる。
夜は妖や物の怪の時間であり、それは化物と呼ばれるぼくの時間とも本来ならば言えるのであろう。本来そういう類に対して隠れ怯える人間だがぼくには強く出る。ぼくの身体が小さいからか何なのか、その理解しがたい物体に対しての恐怖心や怒りなどをぶつけやすいのだろう。人間の言葉を使うのなら八つ当たりと言うものだ。
その忌むべきある夜に1人の人間が死んだ。その人間はぼくよりは長く生きていないみたいだが、村の中では長寿の部類でそれに加え村長と言う名称をつけられているからか盛大に弔われていた。人間は目から水を零す。陽を見れば流れるその水の意味は何なのだろうか。人間を焼くのは食うためなのか。肉が焼き消え骨だけとなった人間をどうするのか。食う場所が無くなってしまったそれに意味はあるのかぼくは疑問だった。
埋めた元人間だったそれに向かって人間は号哭する。水が出ている。人間曰くそれは涙と言うもので、感情としては悲しいと言うものだ。
人間が死ねば悲しいと思い涙を流す。しかし化物が死ぬと喜び、笑う。違いは明らかだ。しかしわかっていると思っていながら、少し寒いと思ってしまう。それは遠くで見える火を焦がれているからと言い聞かせた。
どうしてだか今日は人間共がぼくを殴りに来なかった。殴る蹴るの暴行はおろか、なんだか会話も少ない。笑みも少ない、なんだか様子が可笑しかった。
しかし殴られないのは好都合であり、嘆くことではない。ぼくはしんっと冷たい外界に背を向けて冷たい牢の中で眠った。よく眠れた気がした。
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作者名:月光 | 作成日時:2018年6月2日 16時