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3話 ページ4

あぁ、今何年経った?
寒くなって暑くなってまた寒くなったら一年(ひととせ)と言うらしい。この周期が人間の暮らしの基準だ。ぼくが数える限り周期が10繰り返され、また10繰り返された。つまりどのくらいかわからないが、人間が2、もしくは3回死ぬ年月である。伸びて縮むまで大体10が3回くらいだ。ぼくは10が何度来ようが、何度陽が登ろうが小さいままだ。死という生きるものの当たり前がないぼくは生きていると言っていいのだろうか。

パキパキと音を立てながら身体が元に戻る。「もういい」と願っても身体は言うことを聞かない。治れば、ほら。その目がぼくを刺した。流れる血が気持ち悪い。手を縛っている縄が擦れている。赤くなっていた。
長年の新発見は人間と化物のぼくとの流れる血の色は同じということだった。目の色と身体の構造は違うのに、血の色は同じなんだ。ついでにぼくの目の色とも同じだ。人間は「血の色が移った」と言う。両目に血を入れれば少しはマシなのか?

この長い年で1つ変わったことがあった。それはかつてわからなかった恐怖や苦しみ、悲しみ、怒りを知ったこと。その感情を知って人間に向けてもさらなる暴力が返ってくるだけなのだが。繰り返しの日々でその感情がスッと消えてしまった。苦しいと、痛いと、悲しいと、憎いと思わなかった。
反対に変わらないものも存在した。変わらないものはこの暴力の日々と人間の憎悪に満ちた目だ。初めの人間は死んだくせに、その人間の子から子へこの日々を繋いでいく。子は大人の言うことを信じ疑わない。
つまりこの「罰」の日々は終わることがないのだ。

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作者名:月光 | 作成日時:2018年6月2日 16時

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