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17話 ページ18

人間のくせに愚かなことをするものだ、そう思った時、その傷口に釘付けになった。なんと人間が付けた切り傷は見たことある形で修復されていったのだ。そう、まるで傷口から煙のようなものが出てみるみる間に塞がるその現象はぼくと同じもの。
「私も君と同類ですよ。死ねない、そんな化物です」
ぼくは隣の化物(・・)を見つめる。
「化物の居場所は化物の隣でしょう?私が君の帰る場所になります。だから私の帰る場所になってくださいね」
同じかぼくより少し大きな手で、ぼくの頬を包んだぼくの仲間。ぼくは黙って頷いていた。
同類だから助けてくれたのか。人間に絆されていたなんて考える必要なかったんだ。こいつが同じ化物だ、信用しても問題ないのだから。心配する必要なかったんだ。
全部杞憂に終わったようだ。少し疲れた気もするが、何より嬉しかった。仲間がいたことも嬉しかった。笑顔を向けてくれたことも嬉しかった。居場所をくれたことが嬉しかった。そして何よりも、生きることを否定されてきたぼくに隣で生きてと言ってくれたことが嬉しかったのだろう。あぁ人間はこんな時に何と言うのだろうか。

「で、にんげ…じゃねぇな。同類?お前の名は何だ?」
ぼくがそう言うと、手を頬から離してまた手を戻る。
「私も君と同じ境遇ですからありませんよ」
ぼくと同じなら確かにそうだ。たが名がないと面倒ではある。ぼくは少し考えると、素晴らしい考えにたどり着いた。
「それでは互いの名を互いが決めるというのはどうだ?」
我ながらいい考えだと思う。隣を見るとまるで花が咲いたように笑う。ぼくと同じなのに随分と人間らしく笑うやつだ。
「勿論、よろしくお願いします!」



((手繋ぐの好きなんですか?))
((好き…?わからない。ただなんだか温かいからやってるだけだ))
(((それを好きって言うんですよ)))

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作者名:月光 | 作成日時:2018年6月2日 16時

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