『あの夏の日の記憶』。 (ページ2)

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1.いじめられっ子。ページ2

朝起きるのが憂鬱なのは、
　いつものこと。

重い体を精一杯持ち上げてもそこから見える世界は、

僕にとっては地獄だった。

**
『なにアイツ。今日も学校きてんだけど～』
『はぁ～アイツのせいで毎日学校憂鬱だわ～www』
『まじ目障り。きもくね？』
『それな～、こっちは迷惑だってんのに。』

聞こえる陰口が僕の耳に届く。
　毎日聞いてるはずなのに、慣れない。

いや、慣れちゃ駄目だ。

だから僕は耳を塞ぐ。

笑い声と鋭い目。
こちらをチラチラ見ながら、指を差す。

「き…嫌いなら、ほっといてよ！！」

精一杯、大きな声で言った。

　初めて勇気を出した日かもしれない。

これでいじめをやめてくれるはずがない。

　けど、僕がんばった！！……

『え、何？急に叫んでキモいんですけどwwww』
『嫌いなのに俺達は付き合ってあげてるんだよ。感謝しろよな。』

と、僕の背中を強く押した。

思わず、派手に転んでしまう。
膝と手から血が見えた。

慧「う”う”ぅ」

痛い。動けない。動きたい。
……このままいっそ死にたい。

『何で自分から転んでんの～？wwww』
『かわいそアピールすんなよ！！』
『ほっとけ、どうせ嘘だから。』
『じゃ、行こーぜ！！』

アイツらは走っていった。

もういいさ。
どうでもいい。
ほっといて。
痛いのは僕だけでいい。
死にたい。
生きたくない。
何も考えたくない。

僕の頭は真っ白になっていき、心は真っ黒になっていった。