拾って部下にしたJKは元相棒の妹！？2

54.幼き日に ページ6

太「証明するものは何も無いのだけど………そうだなぁ、とても寒い冬、君の三歳の誕生日の朝に二人で抜け出してダイアモンドダストを見に行ったのだけど、覚えて居るかな？尤も、帰ったらこっ酷く叱られたけどね」
ダイアモンドダストって。

この人はそんな小さい頃からそうなのか。三歳相手に？

『……おぼえてる……小さい頃、寒い朝に誰かに手を引かれて………凄く、キラキラしていて綺麗だった。あれが、貴方なの？お兄ちゃんなの？』
太「そうだよA。彼奴が帰って来て君を置き去りにしたと知った時から、ずっと探していたのだよ。」

置き去り？何だろう、複雑なご家庭なのかな。僕が云えたもんじゃ無いんだろうけど。

『お兄、ちゃん？本当に……私を、探して…？』
太「うん、当たり前じゃあないか。可愛い妹を探す為に家出までしたのだよ。」
そう云って太宰さんはAさんをふわりと抱きしめる。
太「会いたかった。ずっと探してた。」
『……そっか、探してくれてありがと。会えて嬉しい。』

………ええと。折角の感動の再会なんだろうけど、こっちからしたら全く状況が掴めない。

国「おい太宰。」
国木田さんが声を掛ける。
太「なぁに国木田君。邪魔しないでくれ給えよ。生き別れの兄妹の再会なのだよ？」
国「其れは悪いが、状況を説明しろ。さっぱり判らん。」
太「えぇー？」
国「結局お前は誰なんだ？」
太「え？国木田君、二年も組んでて未だ判らないの？私は太宰治だよ。」

いや、そりゃそんなんでしょうけど。そうじゃ無くて、

国「そんなことは知っている。では、津島修治とは何なのだ。」
太「其れも私。何ね、簡単な事だよ。家を出るときに名を変えたのさ。」
敦「どう云う事です？」
太「今でも、津島修治という人物は戸籍に登録されているはずだよ。家を出て直ぐに捜索願が出されて、軍警をごまかす為に名前を変えてしまったんだ。元より名前になんてこだわりは無いし、名乗りたくもなかったからね。あんな苗字は。」

一瞬顔に影が落ちるが、直ぐにいつもの表情に戻る太宰さん。

きっと、いろいろあるんだろうなぁ。



SideT

皆さん、重大なニュースをお伝えします。

実の兄と再会しました。

なんてね。

今、私にくっ付いてぎゅぅっと抱き締めて居る此のイケメンさんは、どうやら私のお兄ちゃんらしいです。

てっきり普通に捨てられたもんだと思ってたから、家と縁を切ってまで探してくれていたなんてびっくりで。




嬉しかった。

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