検索窓
今日:7 hit、昨日:27 hit、合計:227,325 hit

73.弱さ ページ25

一仕事終えてAの様子を見に行くと、随分と魘されていた。悪い夢でも見ているンだろうか。

此れは、起こした方が良いな。

中「おい、A、A!」
『ん、………ぅんー………なかはら、さん?』
中「大丈夫か?凄え魘されてたぞ?………っおい!如何した?」
俺をはっきり視界に捉えたかと思えば、Aはボロボロと泣き出した。
中「ちょっ、え、は?おい、A?」
『……さい……』

『…なさい………ごめんなさい、ごめ んなさっ、』
一体如何したってンだ。
『もっと、働いてっ、強くなっ、て、実戦で、も役に立って見せる、からっ……お願い、捨てないでっ………』
!!

嗚呼、そうか、そうだな。Aはずっと、実戦に出てない事を気に掛けていたのか。其れに、彼奴は孤児だった筈。捨てられるのがトラウマになってンだな。

そんな事絶対ェしねえのに。


Aも人の子って事か。病気の時は心が弱くなるって云うしな。

中「大丈夫だ。絶対に手前を捨てたりしねえよ。頼まれたって他所にやったりするモンか。」
近付いて頭を撫でてやれば、此方を見上げる。その顔は涙に濡れていた。
『う、ヒック、っ、ック………ほんと、ですか…?』
中「勿論だ。手前は足手纏いでも邪魔者でも無え。不安になる必要は無えよ。」
『じゃ、わた、し…此処に居ても、良い、の………?』
中「ったりめェだろうが、手前は俺の補佐官なんだからよ。」
『!!…う、うぅ、中原、さ、私、中原さんの、お荷物になってるんじゃ、ないかって、』
中「そんな事無えよ。ほら、大丈夫だから泣き止めって。」
安心させる様に背中をぽんぽんしてやれば、更に泣き出す始末。困ったな。


昔、自分が泣き止まなかった時。周りの大人は、何をしてくれていただろうか。


「泣いて良いぞ。偶には思い切り泣くのも必要じゃ。」


唐突に思い出される、姐さんの声。

嗚呼、そうだったな。
其れなら。

靴を脱いで寝台に上がり、Aを優しく包み込んで顔を胸に埋めさせる。
中「泣けよ。思いっきり泣いちまえ。こうしてれば、俺にも見えない。だろ?」
ぎゅっと抱き込めば、襯衣の胸元を掴んで頭をぐりぐりと押し付けてくる。
中「嗚呼でも、布団は被ろうな。身体冷えちまう。」
Aを抱いたまま寝台に横になり、布団をかける。


初めて見た、Aの弱い部分。其れが如何しようもなく愛しく見えた。

74.落ち着け。→←72.こっちも大慌て


ラッキーカラー

あずきいろ

ラッキーアルファベット

X

おみくじ

おみくじ結果は「末凶」でした!


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (119 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
278人がお気に入り
設定タグ:文豪ストレイドッグス , 中原中也 , 太宰治   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あぽー - コメントありがとうございます!最近ちょっと停滞してて…すみません……… (2017年12月19日 18時) (レス) id: d7427a48c9 (このIDを非表示/違反報告)
雪影(プロフ) - すごく面白いです!!更新楽しみにしてます!これからも頑張ってください!!!応援してます!! (2017年12月18日 18時) (レス) id: ef1099cfc1 (このIDを非表示/違反報告)
あぽー - 椎名唯乃さん» ありがとうございます!ぼちぼちですが更新していくので、今後とも是非ご贔屓に( ´∀`) (2017年12月16日 0時) (レス) id: d7427a48c9 (このIDを非表示/違反報告)
椎名唯乃(プロフ) - とても面白いです!更新楽しみにしています!頑張ってください! (2017年12月15日 22時) (レス) id: 490a476d52 (このIDを非表示/違反報告)
あぽー - ぶっちゃけ、アニメ本編10話のアレが有りなら何でもアリなような気が…します。 (2017年12月11日 19時) (レス) id: d7427a48c9 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あぽー | 作成日時:2017年11月18日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。