五拾漆話 ページ6
龍之介のお見舞いに行くために、部屋を出て夜の街へ歩き出す。
戦争勃発のためか、何時もよりも緊張が高まる。そのぶん足も早まる。
気付いたら病室の前にいて、私の息は切れていた。
「龍之介?」
中からは荒々しい音が聞こえる。
「入るよ?」
ガラッ
ガシャーン!!
「おっと!
……龍之介、何で起きてるの?何してるのかな?」
羅生門を危機一髪でよけ、そう声をかけた。
「ああ、…Aか。」
「ああ、じゃない。完治してないでしょう。」
「首領から任務を仰せつかった。」
「首領ぶっとばしてくるね」
「…やめろ。僕が志望したのだ。止めるな。
……戦績をあげることで、あのひとに認められる日が来るのならば傷が開こうとどうでも良い。」
「え、なに?ぶっとばして良いって?」
拳を握って龍之介に近づく。
さすがに自分が悪いと思ったのか、龍之介は動こうとはしなかった。
そして……
私は龍之介をそっと、抱き締めた。
「私はね、心配してるんだよ。また今回みたいに大怪我して、暫く会えなかったらって……
寂しかったんだからねっ……」
耳元でぼそりと呟いた。
龍之介は私の背中に腕を回した。
「僕もに決まっているだろう。……僕は、絶対に、帰ってくる。
だから貴様も、Aも、無事で、いろ……」
「知ってたんだ、任務のこと。
うん、当たり前だよ。お互い、ね。」
「もう遅い。ここにベットがもうひとつ有る。泊まっていけ。」
「はい?」
「夜も遅い。何があるかわからぬだろう。
……これでも、僕は……心配、して………」
「…分かった。お言葉に、甘えて。」
「今までのぶん、取り返させてせてもらうぞ。」
「………ご勘弁を」
チュッ
その日は騒がしかったとか何とか。
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