その文豪、腐女子につき。参！ (ページ15)

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陸拾弐話ページ15

私が部屋に戻ると、先程の技術者がいた。

「で、どうだった？」

「なんとか、無事でした。原因はやはり、Blauer Himmelでした。」

そういうと、技術者は私に書類の束を渡した。

「これは、先程の状況を纏めたものです。」

「ありがとう。仕事に戻って。うちの班のはやらなくて良いわ。」

「A先輩、これ、組織内にあった、高村光太郎らの資料です。」

「ありがとう。二人とも、休んで良いわ。」

技術者と、かなはそれぞれ自分の部屋や家に、戻っていった。

気づけば、酷く日が暮れていた。

「時雨野先輩、あの、情報、駄目でした」

「なほ、お疲れ様。どうして？」

動物たちを使って情報を．集めていたなほが戻ってきて私にそう報告した。

「すいません……。まず、動物が、よろうと、してくれなくて……多分、何かそういう、気を、感じるのだと……」

「うんうん。」

「それと、………組織に、近付くと、死んでしまう、んです……若しくは、私のところを、離れて…………仲間に、攻撃したり……」

なほは、私の前だからこそ泣かないものの、目には涙が浮かんでいる。
優しい彼女のことだ。それが、何よりも悲しいのだろう。

「そう……泣いて良いのよ、なほ。こんなこと聞くのも悪いのだけど、その死体、とかって回収出来てたり、する？」

「はい………みんな、連れて帰ってきていますが……」

「解剖を頼めないかしら。……酷なのだけど。」

「わかり、ました………」

「悪いね。ありがとう。私も一緒に立ち会うから。とっても、大事なことなの。よろしくね。」

泣き始めたなほの、背中をそっと叩きながら、このあとのことについて、私は悶々と考えていた。