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目黒くんに助けられたとはいえ気分はあまり良くなかった。





私が居なくなっても大丈夫だと思ってお店を出ると
はぁ…痛いところ突かれたなあとため息が溢れた。

私も気づかぬうちにかなり酒を呷っていたらしく、
外に出たら夜風が気持ち良かった。









「……あのハゲ親父め……」









1人そう呟いて鞄をブンブン振っていると


「それは言わないお約束っすよ」と背後から声がして思わず鞄を回しながら後ずさった。









「っぶね!…こわ、」

「っびっくりしたじゃん馬鹿!!!」

「ふはっ、え。Aさん口悪くないっすか?」

「…なに、だめなの??」

「いや全然いいっす、素が見れた気がして」








「あのAさんがシンプルにぶっ壊れてて割と好きっす」と言って目黒くんは笑った。






1人で帰らせるのはと思って追いかけてきてくれたらしい。






部長はどうしたの?置いてきちゃったの?と聞くと

置いてきたと平然と言い放ち


機嫌悪くならなかった?と言うと

あんなハゲどうだっていいとストレートに言い放った。









「ちょっ、え?笑わせないで。怖い怖い、」

「え、何ですか。バッグ振り回してる女も怖いっすよ」

「さすが営業だね。嘘の塊だ」

「ふは、なんすかそれ。ひでえ〜笑笑」









手を叩いて大きな体を丸めるようにして笑う目黒くん。









ねえ、わかってるよ。





私の気持ちを察してわざと部長の悪口を一緒に言ってくれてるんでしょ??









やっぱり若い子たちの中でも君はできる子だね、と


言いこそしないけど彼を見る目がまた少し変わった。









「覚えてますか?Aさん」

「何、突然」

「俺が入社した年の忘年会の時のこと」

「あー…まだ初々しかったよね目黒くん。
煽られるままお酒飲んでるから、ベロベロに酔わされちゃって」









お手洗いの前で真っ赤になって壁にもたれかかっている彼を見つけたのが私だった。






駆け寄って大丈夫か聞くと、

彼は頬にかかる髪の毛の隙間から私をふっと見つめて何か(・・)を言ったのだ。









「………あの時、本当は俺が何言ったか分かってたんでしょ?」









突然彼が足を止めて、私の手首を掴んだ。






冷たい夜風に乗って彼の甘い香りが鼻を掠めた時____









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「……やっと堂々と言える。Aさんが好きだって」









そう告げ 彼はもう遠慮をしなかった。








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Haruno(プロフ) - mamemiyaさん» mamemiya様、お返事が遅くなり大変申し訳ありません😭💜さんのお話気に入って頂けて本当に嬉しいです!!そうなんです、少しのすれ違いがとんでもない後悔を生んでしまうこともあるかと思います…。こちらこそ素敵なコメントを有難うございました! (2023年4月22日 15時) (レス) id: 7ace42d2c7 (このIDを非表示/違反報告)
mamemiya(プロフ) - 深澤さんの話が切なすぎて胸がぎゅーっと痛くなりました。好きって思ったらちゃんと伝えないといけないですね。切ないですが、素敵な話をありがとうございました。 (2023年4月16日 12時) (レス) @page18 id: 8b0826854e (このIDを非表示/違反報告)
Haruno(プロフ) - あいさん» あい様最後まで見て下さりありがとうございます…!黄色さんでしたか!ご意見頂けて嬉しいです( ; ; )今回めちゃくちゃ更新早かったです笑 でも本当に無理はしていないんです!いつも書ける時に書いてるんですよ!その温かなお気持ちが嬉しいし感謝です!( ; ; ) (2021年10月3日 16時) (レス) id: c65c76f5bd (このIDを非表示/違反報告)
あい - 頑張り過ぎなHarunoさんへ今日は怒らせてください(笑)敬語遣わずごめんなさい!たまにこうなったら許してください。今日もラブです! (2021年10月3日 14時) (レス) id: 60ef7f07e2 (このIDを非表示/違反報告)
あい - 完結お疲れ様でした。 私の中での今回の一位はやはり黄さんです。優しく看病してくれるのが浮かんでもう(涙)素敵な人柄でしたよ! 今回も更新早いですね。きっと日々青い鳥も更新してくれてるはずなのに、読者に供給し過ぎです!ゆっくりしてっていつも心配になるぞ! (2021年10月3日 14時) (レス) id: 60ef7f07e2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Haruno | 作成日時:2021年9月20日 15時

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