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其れはまだ俺が《羊》と呼ばれていた時の事。

否、正確には《羊》から追放(・・)され
マフィアへの道を歩まされ(・・・・)て居た時



裏切るかもしれない、俺が《羊》の奴等を守るのは俺の気分次第。そんな噂が太宰の思惑によって広まったある日、俺は元仲間に刺された
周りは銃弾の雨
絶望と悲しみの中逃げて崖下へと。

其の場が後に、俺にとって思い出の場所となる









.









『悔やんでも仕方ない。其れを種にしなきゃ』




昔何処かでそんな言葉を聞いた。
在れは何時だッたか?





『君の力は不思議だね』




幼子の小さな興味と好奇の目。
俺の力はそんな綺麗なモンじゃねェよ







『すき。だいすき!』









俺よりも幾分小さな体で必死にしがみつく
離れない様に、離さない様に。









──────何時も手前だけは俺の味方なんだ









_________.*









岩を掴み、体を持ち上げる。
まばらに木立が林立する斜面に出た
濡れた体を引きずるように、木立のあいまを歩いていく。

ふと───前方に影が差した。


小柄な人物
回り込まれたかと俺は厳しい顔をしたが違った


「やァ中也。大変そうだね。手を貸そうか?」


太宰だった。


『中也!』


其の隣にはAも居る








そうだな、そこから先はまた今度だ。



だが、少しだけ教えてやるか









あの時、彼奴…顔を涙で濡らしたAは傷付き動く事すらままならない俺に不細工な顔で言った。





『 痛いの痛いの飛んで行け 』




と。

羊→



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作者名:抹茶 | 作成日時:2018年3月11日 8時

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