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彼女は外に出ることを許されなかった。生まれつき肌が弱いらしく、日光に当たると晴れ上がって水脹れが出てしまう。だけど、太陽はもうない。彼女を苦しめるものはない。僕の背中の上できゃっきゃとはしゃぐ彼女に僕は目を細める。それが嬉しくて、僕の歩調も自然に弾んだ。
五分ほど経っただろうか。急に彼女が黙り込んだ。僕が不思議に思って彼女を見つめれば、彼女は僕の首筋に顔をうずめる。
「ねえ、雪花」
「……」
「ごめんね。私が、私がいたから、雪花は、雪花は自由に生きれなかったんだよね。雪花は私じゃない誰かと、一緒にいたほうが良かったはずなのに」
その言葉は、ひどく鋭利で僕の心に音もなく刺さった。
彼女の声はひどく震えていて、泣いていることは容易にわかる。僕は心のそこからわきあがってくる怒りを、彼女にぶつけようとして……やめた。そうだ、僕だって彼女と同じことを考えてたんだ。言おうとしてたんだ。
それが、どれだけ鋭利で……もし彼女に言っていたとしたら彼女をどれだけ傷つけていたか。
「違う」
だから僕は静かに呟く。生命の音すら感じられないその世界で、僕のその言葉はよく響いた。
「僕は、雪に救われた。雪が愛してくれたから、今僕はここにいる。君のために生きてる。だから、だからそんなこと、言わないで」
それを言い終わるころには僕の頬に涙が伝っていた。ああ、だめだなあ……格好つかないや。その言葉に彼女は、顔を上げる。その表情はぐちゃぐちゃで、僕は微笑んで「ひどい顔」と笑った。すると彼女は「ひどい」と声を荒げる。僕はそれにさらに笑い声を大きくした。そして間もなく、自分にできる限り精一杯の笑顔を浮かべる。せめて……せめて彼女にこの笑顔が伝われば。
「雪」
“君ともっと一緒に生きたかった”
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自由気ままに生きる難聴の音霧想(プロフ) - 少女Ｒさん» コメントありがとうございます！ 時間をもう少しかけて仕上げたかったなぁ……と今更ながら思います。そう思っていただけたなら大変光栄です。 (2017年5月14日 13時) (
レス) id: 6c125bcd13 (このIDを非表示/違反報告)
少女Ｒ(プロフ) - 完結おめでとうございます。凄く面白かったです！少ない話数なのにとても感動しました！ (2017年5月14日 9時) (レス) id: ff2027e67d (このIDを非表示/違反報告)
音霧想@悪魔崇拝してる人（会話はできます）(プロフ) - うさぎ@りんご飴さん» わぁ……改行少ない小説苦手だというのに目を通していただきありがとうございます。いえいえ、感想いただけただけで満足です。本当にありがとうございました。 (2017年1月8日 14時) (レス) id: 6c125bcd13 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎ@りんご飴(プロフ) - 音霧想@悪魔崇拝してる人（会話はできます）さん» いえ、あれは個人的な意見ですのでお気になさらず！ 私は改行が少ない作品が苦手なのですが、全く気にならずに読む事が出来ました。その点を強調して書きたかったのですが、上手く伝えられず申し訳ありません(汗) お忙しい中、わざわざ返信頂きありがとうございます！ (2017年1月8日 14時) (レス) id: 358807b83b (このIDを非表示/違反報告)
音霧想@悪魔崇拝してる人（会話はできます）(プロフ) - うさぎ@りんご飴さん» 評価ありがとうございました。私は改行が多い作品は横読みでも縦読みでも苦手なんです。内容が薄くなってしまう気がするんですね。なので改行に関してはこのままでいかしてもらいます。ほかの点は褒めていただき光栄でした。ありがとうございます。 (2017年1月8日 14時) (レス) id: 7d8ba4b3f5 (このIDを非表示/違反報告)
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