98 そういえば。 ページ48
「しーっ! 声がでかいよ」
口の前に人差し指を
立てながら、声を潜めて言った。
そんな麗ちゃんの行動に、
ふっと我に返った。
……そうだ、ここ病院だ。
いくら個室だって言っても、
迷惑だよね。うん。
「ぜーったい、今の声、
隣にも聞こえてたよ…」
麗ちゃんは「はあっ」と溜息をつくと、
椅子に腰をかけた。
そうだねぇ、
今の声量を歌に使えたのなら…
オペラ並みの、かなりの迫力だったと思う。
そんなことを思っていると、
しばらく時計の音だけが響き渡った。
「…そういえば」
「うっほ! 」
ヤバイヤバイ。
ついついゴリラになってしまった。
正直なところ、半分夢うつつ状態だった。
なのに突然、声を出すんだもん…
びっくりするに決まってる☆
「課題、やった? 」
「えー? 」
んもう!
詐欺だの課題だの…
今日はエイプリルフールじゃないぞっ!
何回驚かせば気が済むのよ〜!
ーーおええぇぇぇぇ‼︎
いろんな意味で吐き気してきた!
課題って何?! 聞いてない!
「その顔…まさかやってないとか、
ないよね」
「あはは…うん」
作り笑いから、真顔で返答する。
「やっぱり。言っといてよかった」
「うん、ありがと…! 」
本当にありがとう…!
いつもいつも、
麗ちゃんには救われています…。
ありがたや、ありがたや〜…。
「僕たちは仕事があるから、
ってRin先生が提出日を延長して、
明後日にしてくれたんだよ」
「明後日?! 」
うそーん! アリエンティー!!
明後日とか……どうしよ…。
ーーてか!
「課題って何やるんだっけ? 」
「はぁっ?! 」
咄嗟に口を押さえた麗ちゃん。
ちょっ、待って、かわいいい!!
口に手を当てながら、
周囲に目をキョロキョロとさせている。
つい大声を出してしまったのを、
自覚していたみたい。
いやー、可愛いわ〜
ほんと、可愛いわ〜
ついつい、連呼してしまう。
「…作曲だよ」
ぷいっとそっぽを向きながら言われた。
作曲、作曲…。
「あぁあぁあぁぁぁんぐっ‼︎ 」
「うるさいぃ! 」
潜めた声で言う麗ちゃん。
とてつもない大声を
出してしまった私の口を塞いでいる。
「んぐんぐ、ふはっ! 」
やっと離してくれた。
危うくフラグ立つところだったよ。
「ごめんね」
笑顔で言った。
「やめて」
…のだが、
嫌そうな顔で引け目をとられました。
「えぇーっ?! 」
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流華 - ネクロさん» 感想ありがとうございます!!久々にうらつくを開いたらコメントあって嬉しいです涙 (2021年6月27日 20時) (レス) id: c141522df8 (このIDを非表示/違反報告)
ネクロ - 今1を読み終わった所です!2が楽しみなので、早速読んできます! (2021年1月2日 20時) (レス) id: acc1702ca8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:作者 x他1人 | 作成日時:2014年3月23日 22時