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97 ひとまず安心? ページ47

躊躇う麗ちゃんを
半ば強引に呼び止めた。


「あ、私は出た方がいいわね」


そういいながら、
麗ちゃんのお母さんは腰を上げた。


「すいません…」

「いえいえ。売店に行ってくるわね」


麗ちゃんが「うん」と頷くと、
お母さんは微笑みながら病室を後にした。

……さて。


「えっと、その…」


あー、
引き止めたたけで、

話す内容なんにも、
考えてなかったああああああ!!


「海翔。ちょうど良かった」


私がムズムズと頭を抱えていると、
麗ちゃんが薄っすらと笑みを浮かべた。

幸運なことに、
私のことには気づいてないみたいだ。
よかったあ…。

自分から呼び止めといて、
話すことないとか、『忘れちゃった☆』
とか言ったら、
麗ちゃんの眼光にネジ潰されるもの。

ふぅ…。


「ばれた…」

「え」


安堵のため息をついたのもつかの間。
いきなりの宣告を受ける私。

バレタ…? ドユコト?
……バ、ババ、バレタ?!


「え、え?! 」

「だから、海翔が女ってこと…ばれたの」

「なっ、なぁにぃー?! 」


待て待て。
一体どういうことだーいっ!
私が安らかに眠っている間に何があった。


「もしかしたら、海翔、詐欺罪になるかも…」

「えぇっ!?」


サギッ、ザ、イ……。
…サギ剤? いやいやちゃうわ。
今ボケいらん。

ってーーーー。


「えぇぇぇぇぇええっ?! 」


ちょ、今年一番のビックリデ賞一位だわ!
サギザイってーーっ!!


「そ、そうか、私は
セイベツサギシなのか…っ。
そうなのね…」


もう、終わった。
私の人生は、終わったーーーー。


「…ふふっ」


絶望感に満たされ、唖然としていると、
クスクスと、小さな笑い声が聞こえた。

ぼーっとしたまま、横を振り返ると、
麗ちゃん。

そうだ、麗ちゃんいたんだったね。
うん。

てか。
なんでそんなに笑ってるの?!

一瞬目が合うと、
逸らしてから説明を始めた。


「ごめんねっ、海翔。
今の嘘っ! 事情は説明してあるから、
心配する必要ない、よっ」


顔を真っ赤にしながら、
笑い混じりに説明をする麗ちゃん。
いまいち、意味がわからない。


「ごめん、性別詐欺師、がっ」

「ほぅ…」


思考回路は追いつかないし、
爆笑しっぱなしの麗ちゃんには、
もはや手のつけどころがない。

ようするに、
今のはジョークということでいいのかな?!

もう、もう……


「本気でビビったじゃあああん!! 」


病室には震えた叫び声が響き渡った。

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流華 - ネクロさん» 感想ありがとうございます!!久々にうらつくを開いたらコメントあって嬉しいです涙 (2021年6月27日 20時) (レス) id: c141522df8 (このIDを非表示/違反報告)
ネクロ - 今1を読み終わった所です!2が楽しみなので、早速読んできます! (2021年1月2日 20時) (レス) id: acc1702ca8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:作者 x他1人 | 作成日時:2014年3月23日 22時

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