87 本当は ページ37
「はい、お待たせ」
数分後、湯気の立つ温かい料理が用意された。
それも、すごく美味しそうで。
「いただきます! 」
「どうぞ」
一口含んだ瞬間に、ふわっと味が広がった。
なんでしょう、いつもと違う美味しさ。
っていうか、めっちゃうまいぃぃ!!!
この料理も、そして私の食レポも!
いつか、オファー来ちゃうよね。
「……麗、アイドル頑張ってる? 」
突然、お母さんが口を開いた。
さっきまでとは違う、真剣な面持ちで。
そんな状況に、私も口に含んだものをすべて飲み込んで、箸を止めた。
「頑張ってますよ。最近、仕事も増えてきて。
私は、それ以上に楽しいんですけどね」
「そう。なら、良かったわ。
私たち家族が、経済的に不安定だったとき、
あの子ったら、突然アイドルやる! だなんて言いだして。
お金稼いだら戻ってくる! とか、そんなこと言って、
家を出て行っちゃったのよ。
必死で止めたんだけどね、聞く耳を持ってくれなかった。
だから、今実際アイドルになってみて、どうなのかな、って
心配で心配で……」
そう、だったんだ。
ふとあの時の光景が脳裏に映し出された。
『そんな家族が、……大っ嫌いだったんだよ!! 』
大粒の涙を流しながら、麗ちゃんはこう言い放った。
でも、こんなのまっさら嘘だったんだ。
……なんであんなこと言ったんだろう。
”大嫌い”、だなんて。
本当は家族が大好きで、大好きだからこそ、家族のためにアイドルになったのに。
「家族思いな子、なんですね」
「ふふっ、ごめんね。
なんか親バカみたいなこと言っちゃって」
「いえ、全然全然! 良いじゃないですか、そういうの……」
私なんて、親になんにもしてあげられなかった。
私に物心がつく前に、いなくなってたから。
少しでも、親孝行したかったな。
もっと、一緒に居たかったな。
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流華 - ネクロさん» 感想ありがとうございます!!久々にうらつくを開いたらコメントあって嬉しいです涙 (2021年6月27日 20時) (レス) id: c141522df8 (このIDを非表示/違反報告)
ネクロ - 今1を読み終わった所です!2が楽しみなので、早速読んできます! (2021年1月2日 20時) (レス) id: acc1702ca8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:作者 x他1人 | 作成日時:2014年3月23日 22時