79 新たな発見! ページ29
*
「行ってきまーす」
「ちょっと待て!! 」
「なにー? 」
重い荷物を抱えながら、扉の向こうへと行こうとしたところを、
柊太に呼び止められ、不機嫌な様子で私は振り向いた。
「何? じゃねぇだろ! どう考えたって。
いくらなんでもその荷物は多すぎだろ」
「大杉って……」
誰だよ。
「なんで柊太にそんなこと言われなくちゃいけないの? 」
大杉とか、
意味不明だし、
聞いて頭に浮かぶのが何故かハゲたおっさんだし。
「だって、麗ん家に行くだけだろ」
「うん。泊まりで」
私がさらりと言い放った言葉を最後に、
なぜかこの場は長〜〜い沈黙の空気に包まれた。
まぁ、私的には、柊太が落ち着いてくれたわけで、別に悪いことではないけれども。
「じゃあ、行ってきます」
「聞いてねぇ」
「え? 」
「泊とかマジ聞いてねぇんだけど」
あれ、言ってなかったっけ?
それに、柊太は落ち着いたどころか、より興奮しちゃってるし。
面白い。
「あはは。そうだっけ」
「笑いごとじゃねぇだろ」
最近、思うんだけど、柊太って、
「なんで最近そんなに過保護なの? 」
「は? ……過保護って、そりゃ、心配だろ。
お前、バカだし、お人好しだし、お菓子あげるって言えば平気で
ついてくるような奴だし」
小さな声で深く俯きながら、柊太はボソボソと言った。
それもデクレシェンド状態で、発した言葉が徐々に小さくなってゆく。
――あ!
待てよ?
よくよく言葉を理解してみたら、柊太が言ってることって、完全に私に対する、
もしかするともしかするやつなのでは……。
「妬いてるの? 」
「は? 」
「もしやの、ヤキモチ? 」
「はっ? 」
しめた!
これは、確実に。
「私のために妬いてくれてるんだ! 」
「……っ」
にしても、ヤッバイ。
面白いのはもちろん、柊太をいじって照れさせると、
めっちゃ可愛いかも。
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流華 - ネクロさん» 感想ありがとうございます!!久々にうらつくを開いたらコメントあって嬉しいです涙 (2021年6月27日 20時) (レス) id: c141522df8 (このIDを非表示/違反報告)
ネクロ - 今1を読み終わった所です!2が楽しみなので、早速読んできます! (2021年1月2日 20時) (レス) id: acc1702ca8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:作者 x他1人 | 作成日時:2014年3月23日 22時