71 実はね! ページ21
ガラララ!!
古びた扉を連想させるような、そんな音を奏でながら、扉が開いた。
走っている間の記憶が全くなくて、無我夢中で走ってきたんだ、
と言うことを思い知らされる。
「どうした? 」
少し驚いたような、不思議そうな顔でこちらを見つめる。
濡れた頬は軽く拭うと、そんな目の前の人物に向かって、私は口を開いた。
「おれ、いや、私ね、いつからなんて、そんなの分からないんだけど、
いつからか好き、だったみたい!
……柊太のこと」
言い終ったと同時に、少しの不安と恐怖が襲いかかってきた。
その場はしんと静まりかえり、重い沈黙が流れる。
どうしよう、怖いよ。
顔、見れなくなった。
今までどうしてあんなにも普通に接することが出来てたのかなって、
そう思っちゃうくらいに。
「海翔……いや、A」
「っ! 」
ふいに呼ばれた本名に、ドキッとする。
それも、…不安、恐怖、期待、緊張、
いろんな気持ちが複雑に混じりあった、”ドキッ”。
「お前の事だから、どっちの意味で言ってるかわかんねぇけど、
これ以上、俺とは近くなんねぇほうが……」
「ねぇ! 」
思わず大声を出してしまい、柊太も私の真剣な様子に、言葉を詰まらせた。
私が大声を出してしまうのは、しょうがないんだよ。
だって、柊太はいつもそうなんだ。
自分のことばっかりマイナスに考えて、
責任も無駄に背負っちゃって、
いつも、いつも、自分一人に……。
「私、そんなこと聞きたくないよ。
もう覚悟は出来てるから、柊太の本当の、正直な気持ちを聞きたいんだよ。
そんな、自分をけなすような言葉じゃなくて、柊太の気持ちが」
柊太は俯き、考えるようにして黙り込んだ。
そして、長く緊張した空気が流れだした。
知ってるよ。
柊太の答える結果くらい。
だって、私なんて、バカだし、男みたいだし、ナルシだし、
どうせ答えなんて……
「俺も好き」
「はぁ゛? 」
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流華 - ネクロさん» 感想ありがとうございます!!久々にうらつくを開いたらコメントあって嬉しいです涙 (2021年6月27日 20時) (レス) id: c141522df8 (このIDを非表示/違反報告)
ネクロ - 今1を読み終わった所です!2が楽しみなので、早速読んできます! (2021年1月2日 20時) (レス) id: acc1702ca8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:作者 x他1人 | 作成日時:2014年3月23日 22時