63 …不安と過去 ページ13
「行ってきまーす」
そう言って、私たちは学校へと、事務所を後にした。
にしても、昨日はああいう風に優しく接してくれたけど、やっぱり、
…やっぱり、不安だ。
何て言うか、嫌に現実味が帯びてるっていうか、実際に、
柊太が言いそうなことでもあったから。
と、実のところ、アイドルになる前は、ずっと言ってたんだけどね……。
――この話を聞いたうえでも、俺と仲良くしてくれるのか？
って……。
*
『柊太君の近くに行った人って、皆不幸になってるんだって……』
『えー、嘘…。かっこいいのにね……』
私達のクラスは、こんなひそひそ話が絶えない高校生活を送っていた。
入学してから、2週間ほどたった日のこと。
急に、こんな噂が広まり始めたんだ。
『…やめなよ。何してんの？ 何の根拠もないのにそんなこと言って』
私たちの通っていた高校は、他と比べると少し荒れていて、
その影響もあってか、柊太は様々なものの強敵となっていた。
なんの根拠もない”噂”、のせいで。
幼いころの、昇君……の件は、私も最近聞いてばっかりだし、
この頃にはもうおさまっていたんだ。
…だけど、中学のある出来事を境に、だんだんぶり返し、今の状況に至ったんだ。
『は？ 根拠も何も、そいつはな……』
『…っ』
なんでそんな噂がこんなにも広まってしまったのか。
何よりも、
……こんなに酷いことになってしまったのか。
この頃の私には分からなかった。
『っ。とにかく！ そう言う事やめなよ！ 』
『…チッ。女に守ってもらうなんてな……』
最後にそう吐き捨てて、一人の男は去って行った。
そして、一人小さくうずくまる男子に駆け寄った。
この時が、柊太との初めての出会い。
高校1年の春だった。
『大丈夫？ 柊太君、だよね』
『……っ』
最初は、なんにも話してくれずに、ただただ震えてた。
私のことすら、恐らく怖がっていたのだと思う。
瞳の奥が黒ずみ、心を完全に閉ざしているみたいだった。
『大丈、夫…？ 』
『…来るな…』
『えっ…？！ 』
――ドンッ。
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流華 - ネクロさん» 感想ありがとうございます！！久々にうらつくを開いたらコメントあって嬉しいです涙 (2021年6月27日 20時) (
レス) id: c141522df8 (このIDを非表示/違反報告)
ネクロ - 今１を読み終わった所です！2が楽しみなので、早速読んできます！ (2021年1月2日 20時) (レス) id: acc1702ca8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：作者 x他1人 | 作成日時：2014年3月23日 22時
