62 消えそうで ページ12
「…行かないで」
「…は? トイレ行ってただけだけど…」
いつもの様子に、いったん胸をなでおろした。
いつもと、同じだ。
何もかも…………。
「…ごめん。なんでもない」
そう言って離れる。
頬に伝う冷たい雫。
うわ、私、泣いちゃってるの?
どうしちゃったんだろう?
いつもの私じゃない……。
「…どうした? その様子じゃ何かありそうだけど」
「…いや、大丈……」
「聞いてやるよ。今度は俺が」
そう言って、自分のもとに私を抱き寄せた。
……暖かいね。
なんでだろう、すごく居心地がいい。
また、涙腺が、緩んできた……。
「…柊太が、消えちゃいそうで怖いよ」
「…俺が、消える? 」
「どこかへ、行っちゃいそうで……」
ヤダな。
本当に、涙が止まらなくなってきたよ……。
「はっ。バーカ。俺が消えるって、勝手に消すなっつーの!
それに、俺はどこにも、……行かねぇって」
「…柊太? 」
「ん? 」
「…泣いてる? 」
「…泣いて、ねぇよ」
……知ってる。
頭が冷たい。
これ、柊太の涙でしょ?
でも、内緒にしといてあげよう……。
それと、柊太の洋服も冷たくなっちゃった。
私の涙と……。
「…柊太。ごめん、洋服に……」
「…ん? 」
私をそっと離してから、自分の洋服の袖部分を触った。
「柊太、離れないでもいいかな? 」
こんな発言をした私を、柊太は睨むに決まっていて。
「……お前、
ムカつく」
ごめんね、
泣いたら出るものだから、
許してください、本当にごめんなさい!
私の……
鼻水のせいで。
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流華 - ネクロさん» 感想ありがとうございます!!久々にうらつくを開いたらコメントあって嬉しいです涙 (2021年6月27日 20時) (レス) id: c141522df8 (このIDを非表示/違反報告)
ネクロ - 今1を読み終わった所です!2が楽しみなので、早速読んできます! (2021年1月2日 20時) (レス) id: acc1702ca8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:作者 x他1人 | 作成日時:2014年3月23日 22時