検索窓
今日:4 hit、昨日:20 hit、合計:28,600 hit

61 夢の中の君 ページ11

『…俺、多分お前の近くに居ちゃいけないと思う』


 え? 何言ってるの?

そう言いたいのに、声が出ない。

体も動かなくて、近くにも行けない。


『俺さ、昔から不吉な奴って言われてきたから。

 近くにいる人たちは、いつも不幸な目にあって来たんだ』


 何、言ってるの?

顔がぼやけていて、よく見えないけど、多分、雰囲気、口調からしたら……。


『だから俺。アイドルやめるかも。

 お前等の事、俺のせいで不幸になんてしたくないから。

 お前は知ってるだろ? 俺が高校の時お前に全部相談した。

 だから、俺の気持ちが分かるだろ? 』


 待って。

待ってよ。

私、私は、彼方の近くにいたって、一度も、

…一度たりとも不幸だなんて思ったことないんだよ?

むしろ、楽しかったし、幸せだったんだよ?


ねぇ、なんでそんなこと言うの?

なんで今頃そんなことを言うの?

私、不幸なんかじゃないから、ずっと一緒に居よう、って……。

そう、言ったじゃん……。

それで、うんって頷いてくれたじゃん……。


『じゃあ、頑張れよ! 俺は、どっかで見守ってるから』


待って…。

待っててば!


「行かないで! 」


 やっと体が動いた。

…けれど、視界に映るのは、いつもの殺風景な部屋。

チクタクと、時計の音が静かに響く。

それが、物凄く不気味に感じた。


 ……さっきのは、夢、だったの?

なんだか、嫌に現実味が帯びていて、怖くてならない。

息も上がって、肩が上下に動いている。


「嫌な、夢……――っ! 」


 ハッとし、私は部屋を見渡した。

そして、向かい側のベッドへと視線をやった。

けれど、誰の寝ている痕跡もなくて。


 怖い、怖いよ。

本当にどこかへ行っちゃったの?

どうしよう。

私、なんか変だし。

なんでこんなに怖がっているのかすらも、…分からないよ。


――ガチャ。

静かな音とともに、微かな光が部屋に差し込んだ。


「…柊太? 」


 期待を胸に小さく発する。

すると、扉をゆっくりと閉めながら、

その人物は寝ぼけた様子で言った。


「……起きてたのか」


――柊太だ……。


 私は、ベッドをはい出ると、無我夢中で飛びついた。

自分でも分からない。

私、何してるんだろう。

朦朧とした意識のまま、必死にしがみつく。


「…どうした? ふぁあ…」


 一瞬驚いた様子を見せたたものの、すぐにいつものような態度で言った。

62 消えそうで→←60 時代の流れとともに



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (13 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
11人がお気に入り
設定タグ:男装女子 , ギャグ , 友情・恋愛 , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

流華 - ネクロさん» 感想ありがとうございます!!久々にうらつくを開いたらコメントあって嬉しいです涙 (2021年6月27日 20時) (レス) id: c141522df8 (このIDを非表示/違反報告)
ネクロ - 今1を読み終わった所です!2が楽しみなので、早速読んできます! (2021年1月2日 20時) (レス) id: acc1702ca8 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:作者 x他1人 | 作成日時:2014年3月23日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。